2013 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス農業革命研究の残された課題:農業は人口増大にどのようにして応えたのか
Project/Area Number |
23530403
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
國方 敬司 山形大学, 人文学部, 教授 (70143724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 栄晃 関東学園大学, 経済学部, 教授 (60213071)
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Keywords | 経済史 / イギリス農業革命 |
Research Abstract |
2013年6月2日の社会経済史学会においてパネル・ディスカッション「イギリス農業革命の諸相:18世紀後半~19世紀中葉のイギリス農業」を実施した。このパネル・ディスカッションでは,本研究の参加者以外に,対論者として多くの研究者の協力を得た。パネル・ディスカッションではフロアから多くの質問を得て,研究課題の深化を図ることが出来た。 穀物生産は,18世紀から19世紀半ばにかけてイングランド東部に移っていったが,従来は軽土地帯における穀物生産の改良に関心が寄せられていた。本研究では,農業生産の上昇が18世紀前半までに完了すると考えられ,19世紀における農業生産について関心が払われてこなかったフェンランドの穀物生産について伊藤栄晃と國方が検討を加えた。その結果,19世紀に入って,土木事業の進捗と蒸気機関による排水能力の増強,そして粘土散布によって急速な穀物の増産が実現したことが判明した。伊藤は,ケンブリッジシァでは干拓・囲い込みが19世紀も半ばという遅い時期に実施されたことも剔抉した。 一方,武長玄次郎は,バッキンガムシァのプリンシーズ・リズバラなど隣接3教区におけるエンクロウジァについて検討した。その結果,議会法案では農業生産の向上を謳っていながら,実際には生産の改良はほとんど認められず,囲い込みにかかわる囲い込み委員や書記,測量士や大土地所有者(そしてその代理人)など一部関係者に利益をもたらすものに過ぎなかったことを明らかにした。 ウィルトシァの農業について検討した國方は,北部と南部とでは全く異なる農業構造が形成され,19世紀に入って南・東部の穀物生産地帯では大規模農業経営が支配的になるのに対して,北・西部では小規模酪農経営が優位性を保ち続けたことを明らかにした。この背景として,それぞれの農業地帯における労働力需要のあり方が異なる点を解明した。
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Research Products
(7 results)