2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530407
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 晴人 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20126113)
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Keywords | 横浜正金銀行 / 企業金融 / 対外投資 |
Research Abstract |
本研究の目的は、東京大学に寄贈された横浜正金銀行史料を利用して、両大戦間期の日本の対外金融業務が、当該期の日本の企業経営に果たした金融面からの役割を明らかにすることを目的とし、横浜正金銀行の経営発展を融資先企業、貿易商社であった鈴木商店、日本棉花などについて、また、外投資業務に関わった大倉組などの民間企業や各種の国策会社群について、明らかにしてきたことにある。 具体的には、同行の取締役会、監査役会の資料群から第一次世界大戦期から上記のような貿易商社、国策会社に関する記述を抜き出しながら、それらの企業を正金銀行は土嚢余に見ていたのかなどの情報を集め、これを分析していくことで、正金銀行が、その金融関係において為替業務をのぞき窓としながらも、経営の実態にある程度迫りうるような条件を備えていたことを明らかにすることとした。たとえば鈴木商店については資料的な限界からその全体像が見えにくい状況となっているが、このような手法による分析によって、当時の正金銀行が鈴木商店に対して、多額の為替資金を提供しつつ、その経営について慎重な観察を行い、可能な範囲で経営情報を取得していたことなどがあきらかになった。そうした対応を取ったことが同行に取ってみると、金融恐慌による鈴木商店の破綻・解散という問題にも関わらず、影響を小さくすることができた理由ではなかったかと推測されている。 このような研究のほか、横浜正金銀行資料については、かねてからマイクロフィルム化による資料公開の方策を進めており、研究期間中に第6期から第9期までの公開が進められ、これらの資料についての簡単な資料の解題も作成した。
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Research Products
(1 results)