2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530410
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
石山 幸彦 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (90251735)
|
Keywords | エネルギー産業 / 国有化 / フランス石炭公社 / エネルギー政策 / ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体 / ヨーロッパ統合 / フランス石炭産業 |
Research Abstract |
一昨年度までにフランスにおいて収集したフランス政府・計画帳文書、産業省文書、フランス石炭公社文書などの分析作業を継続した。その結果、平成24年度までに解明した、戦後のフランス石炭産業の復興、1960年代の石油の利用増加による石炭産業の衰退、オイルショック以降の産業全般の危機に関する検討を発展させて、平成25年度は、終戦直後から1950年代前半のフランスにおける石炭産業の再建と、不足する石炭の国外からの調達について、より詳細な実証分析を加えた。 そこで、平成25年度に明らかにしたのは、以下の点である。まず、戦後のフランス石炭産業は1946年に国有化され、その再建は政府が介入して実施されることになった。その際には、パリに所在する中央統括機関であるフランス石炭公社と、フランス各採炭地域に9つの国有炭鉱会社が設立され、国有炭鉱会社9社が実際の採掘にあたっていた。これらの組織は、フランス政府・産業省が、フランス石炭公社を介して国有炭鉱会社9社を管理・統制する構造になっていた。さらに、戦後のフランスでは、1947年からの第1次近代化設備計画によって経済の再建が計られ、この計画で石炭産業は基幹産業として重視された。そのため政府が管理する近代化設備基金から多額の設備投資資金が割り当てられ、同産業の再建が実施された。 だが、石炭の生産は計画期間中に16%程しか増加せず、国有炭鉱会社の経営状態も苦しい状況にあった。そのためフランスの石炭調達に占める輸入依存度は低下することはなかった。 これらの平成24年度から25年度の成果は、石山幸彦「産業危機とヨーロッパ統合」矢後和彦編『システム危機の歴史的位相』蒼天社出版、2013年4月や石山幸彦「戦後フランスにおける石炭産業の再建」『エコノミア』第64巻第1号、2013年5月に発表している。
|