2013 Fiscal Year Annual Research Report
社会政策史的視点からの米国貿易政策史 -市民層の食品安全基準への不満-
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23530415
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小山 久美子 長崎大学, 経済学部, 准教授 (60315215)
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Keywords | 貿易政策史 / 米国 / 食品安全 / HACCP |
Research Abstract |
本研究は、米国の食品安全政策に焦点をあてた歴史分析を行い、近年の米国貿易政策への市民の影響力増加現象を検討しようとするものである。米国貿易政策は、特に1980年代以降、食品安全政策といった社会政策と密接な関係を持つようになり、貿易政策への市民の影響力増加の事態の一因となったが、平成25年度は貿易政策と社会政策との関係性の歴史について、米国の農務省等での史料収集を含む、主に一次史料の収集、分析に基づき、平成23、24年度で得られた成果の補足的分析や、研究の掘り下げを行い、成果発信を行った。 米国の食品安全政策は、それまでの連邦政府による検査体制から、企業が中心となって行う食品安全システム、いわゆるハサップ(HACCP、危害害分析重要管理点)導入へと1990年代に大きく変化した。HACCPは、貿易自由化を進めていくためのグローバル・レベルでの食品安全政策の調和化にも貢献したシステムであり、米国貿易政策史研究にとりHACCP史を検討することは、重要かつ意義のあることである。本研究は、HACCP史を明らかにした。 成果は平成25年度に、1.アメリカ経済史学会にて、「貿易自由化の進展と食品安全基準の国際的調和化」のタイトルで、HACCP導入に関して 連邦政府がどのような見解を示していたのかの分析を中心にした口頭発表(2013年6月)、2.アメリカ学会にて、「アメリカ貿易政策史 -貿易障壁としての食品安全基準に焦点をあてて-」のタイトルで、HACCP導入に関する市民団体の見解を中心にした口頭発表(2013年6月)により、発信された。また、3.論文「貿易自由化の進展と食品安全事項の国際的調和化 -アメリカのHACCP(危害分析重要管理点)導入の歴史-」が学会誌『アメリカ経済史研究』(査読制)第12号、2013年12月、25~47頁に掲載され、発信された。
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