2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530423
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
西村 卓 同志社大学, 経済学部, 教授 (70156107)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 以在 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (60609551)
|
Keywords | 京都 / 近代 / 町 / 町内会 / 都市 / 戦時期 / インフラ整備 / 年中行事 |
Research Abstract |
本年度の研究成果として、拙稿「日中戦争期における豆腐行商人の生活-豆腐店主・入山音治郎の日誌を素材に-」(同志社大学経済学会『経済学論叢』第66巻第1号、2014年7月発行予定、掲載決定済み)が挙げられる。昭和13(1938)年の「家計日誌」から、行政の補助機関として機能した公同組合=「町」の姿や戦時下の「高揚」の最中での庶民の生活の実態を析出し、戦争を家族と地域コミュニティの側から捉えた論考である。都市住民の生活にここまで深く入り込んで「生活」を描き、且つ近代京都の都市社会構造を描き出した研究はこれまでになく、画期的な研究成果と言える。 また本年度は、最終年度ではあったものの、京都市歴史資料館の協力のもと、これまで未公開となっていた京都市下京区の『長刀鉾町文書』の閲覧・複写が特別に許可されたため、同文書をマイクロフィルムから紙焼きすることができた。長刀鉾町は、京都市下京区四条通烏丸東入るに所在する両側町で、祇園祭の長刀鉾を継承している町である。同町は、明治末に行われた京都市の一大インフラ整備事業である三大事業によって町の中央部分を用地買収されており、本研究で明らかにした手洗水町の事例と比較対照することで、インフラ整備事業の意義をより深く捉えられるようになるものと考えられる。 研究期間全体を通じて発表した成果は、住民自治組織の変容と実態に迫る資料の翻刻、それらを用いた学術論文の発表と着実に出すことができたと言える。これらの成果は、社会経済史の都市史研究に対して居住原理の視点を含んだ分析という問題を投げかけることになったと言えよう。また、近年盛んに議論される都市再生論やコミュニティ再生論についても、歴史的な経緯を踏まえた上での政策立案の重要性を示唆できるものになったと考えている。
|
Research Products
(1 results)