2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530430
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田名部 元成 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (10313462)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
実施計画に挙げた4点について述べる。(1)ゲームモデルと実施データに基づくシミュレーション・モデリングの数理的枠組みの構築。数理システム論の枠組みを用い、典型的ビジネスゲームの一般モデルを定式化し、それを動作させるためのシミュレータのアーキテクチャを示した。このアーキテクチャはクラウド上への実装を前提としている。(2)ゲームモデルと実施データに基づくシミュレーション・モデリングの認識論的枠組みの構築。Lincoln & Guba の研究パラダイムの分類、ならびに、シミュレーション&ゲーミングにおける哲学的議論の調査をもとに、参加型パラダイムに基づくシミュレーション&ゲーミングの認識論について提案を行った。この認識論によりゲームモデルと実施データに基づくシミュレーションの結果に対する意味づけが可能となる。(3)モデルと実施データを用いたシミュレーション・モデリング手法の設計。需要分配型ビジネスゲームにおける実施データの総需要の修正が及ぼす影響に関する数学的議論を行い、特別な仮定のもと、実施データを用いたシミュレーションがゲーム実施時の文脈で解釈できることを示した。これによりゲーム実施後のデブリーフィグに革新的な手法を導入することが可能となる。(4)シミュレーション・モデリング支援システムの設計と構築。上記(1)で提案したアーキテクチャに基づくモデル処理系の設計と実装をDSLによるアプローチによって行い、幾つかの実験により、ゲームモデルと実施データに基づく大規模シミュレーションが可能であることを確認した。これにより、シミュレーション・モデリングを支援する基盤が整備された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ゲームモデルと実施データに基づくシミュレーション・モデリングの数理的枠組みの構築については、シミュレーション状況を記述する数理的枠組みまでは提案できなかったものの、ビジネスゲームの一般モデル、ならびに特定ゲームのモデルを数理システム論の枠組みを借りて定式化することが出来ており、概ね順調に進展している。(2)ゲームモデルと実施データに基づくシミュレーション・モデリングの認識論的枠組みの構築については、ゲーミング・シミュレーションの哲学的概念整備を行い、実施データに基づくシミュレーション・モデリングの認識論を据える枠組みが整いつつあり、概ね順調に進展している。(3)モデルと実施データを用いたシミュレーション・モデリング手法の設計については、需要分配型ビジネスゲームに対するモデリング手法として代理データシミュレーション手法を提案している。シミュレーション・モデル表現に対する操作的な取り扱いを可能とする代数的演算を導入までには至っていないものの、概ね順調に進展している。(4)シミュレーション・モデリング支援システムの設計と構築については、シミュレーション・モデリングを支援するための情報処理システムの機能的要件を明らかにし、構築したいゲーミング・シミュレーションに対するモデリング表現を処理し、モデリング活動を支援するための処理系のプロトタイプを実装しており、当初計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1a)シミュレーション活動を記述するための枠組。前年度活動(1)の成果を踏まえて、ビジネス・シミュレーション活動自体を記述するための数理的枠組を完成させる。(2a)代理データシミュレーション手法が依拠する認識論。前年度(2)の成果に基づき、代理データシミュレーション手法の認識原理としての抽象的意味とゲーミング知との関連を探求し、それを提示する。(3a)シミュレーション代数系の構築。前年度(3)の成果に基づき、代理データシミュレーション中心として、シミュレーション・モデルに対する操作的な取り扱いを可能とする代数系を構築する。(4a)モデリング支援システム実装。前年度(4)の試作版を発展させ、本研究の後半に予定している評価実験に耐えるシステムとして稼働させる。(5a)モデリング手法の評価モデル。モデリング手法を評価するための一般モデルを文献調査によって明らかにし、代理データシミュレーション手法を用いたシミュレーション・モデリング方法の評価モデルを構築する。評価は定量的評価と定性的評価の両者を組み合わせたものを前提とする。(6a)シミュレーション・モデリングの有効性と有用性の評価。本研究で構築するシミュレーション・モデリング支援システムを用いて各種のモデリング手法を評価するための実証実験を行い、それぞれ手法の利点と欠点を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
〔物品費〕(1a)-(5a)を遂行・完了するために、シミュレーション&ゲーミング、クラウドコンピューティング、研究方法論、数理モデリングに関連する書籍を購入する。〔国内旅費・国外旅費〕主に(5a)と(6a)の遂行のために、国内2か所(岩手県立大学と京都大学を予定)と国外2か所(中国・華東師範大学と米国・テキサス工科大学を予定)の研究機関にて調査と情報収集を行なう。また、(1a)-(5a)の成果は、国内2か所(経営情報学会と日本シミュレーション&ゲーミング学会の全国大会を予定)や国外2か所(ACMSA(中国)、ABSEL(米国)を予定)を通じて行う。〔謝金等〕シミュレーション・モデリングに関連の深い研究者を招へいし、ワークショップを2回開催する(専門的知識の提供)。その他、データの集計については、大学院生をアルバイトとして雇用する。
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Research Products
(8 results)