2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530440
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮川 壽夫 大阪市立大学, 経営学研究科, 准教授 (30584049)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ペイアウト政策 / コーポレートファイナンス / エージェンシー理論 / 所有権理論 / フリーキャッシュフロー |
Research Abstract |
本研究の目的は企業による利益配分(ペイアウト政策)の意思決定メカニズムを解明することにあります。注目する観点として企業が保有する人的資産等特殊性資産への両者の評価並びに企業の株主構成の特殊性というテーマがあります。本研究はわが国市場の実際の企業財務や株価に関するデータを用いて仮説検証を行うことを目的とした分析であるためデータの収集、データベースの構築、実証分析の実施、さらには企業や投資家へのインタビューを実施することを計画しています。 本年度を本研究における第1フェーズと位置付け、データベース構築と情報収集及びアップデイトを行動計画の基本としました。具体的には、第一に次年度以降に実施する実証分析のためのデータ構築、第二に仮説設定のための機関投資家との意見交換、第三に先行研究サーベイのアップデイトの三つの局面に分類されます。データ構築は昨年の急激なマクロデータの悪化により、年度別の分類を行うことによって対処し、基本データのみの収集を一旦完了しました。機関投資家との意見交換はニッセイアセット、野村アセットなど幅広い情報収集ができており、今後の仮設構築に役立つと思われます。特に昨年は大王製紙やオリンパスの事件など経営者裁量拡大の矛盾という観点で本研究に応用できる事例が発生し、インタビューの中でトピックとして話題となったことは意義深いと考えております。また、本研究初期段階のラフな仮説による研究報告ではあるものの金融財務研究会などでデータに基づく講演を行いました。 また、現時点でサーベイした先行研究を一旦サーベイ論文として現在執筆中であり、来年度には発表できる計画であること、さらに本研究を著書にする案件を出版社と進めるための打ち合わせを開始したことも今年度の成果といます。 当初の計画は総じておおむね順調に進んでいると評価しております。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度を本研究における第1フェーズと位置付け、データベース構築と情報収集及びアップデイトを行動計画の基本としました。具体的には、第一に次年度以降に実施する実証分析のためのデータ構築、第二に仮説設定のための機関投資家との意見交換、第三に先行研究サーベイのアップデイトの三つの局面に分類されます。達成状況として、データ構築はほぼ順調に進んでいるものの昨年は急激なマクロデータの悪化により実証データの継続性という点でデータの分類手法など検討が必要です。機関投資家との意見交換は想定以上に順調に進み、幅広い情報収集ができています。また、幸運にも最新の研究成果が本研究の大きなヒントとなり、仮設設定に進展がみられる模様です。 実行計画は総じておおむね順調に進んでいると評価しております。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における次年度以降を第2フェーズと位置付け、本格的な実証分析段階とします。第2フェーズにおける実行計画は以下の局面に分類されます。第一に実際の仮説検証の作業、第二に関連研究の進展に関するアップデイト作業、第三に研究成果の発表と以上を受けたまとめの作業となりますが、引き続き企業と投資家へのインタビューは幅広く実施していく計画にあります。また、先の研究成果の実績欄で述べたとおり、現在執筆中のサーベイ論文を次年度中には発表したいと考えております。さらに研究の途中経過を研究ノートとして学術誌に発表することも次年度の目標と考えております。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ計画通りと考えております。ただし、データベースの構築はほぼ順調に進んでいるため引き続き企業と投資家へのインタビューに重点を置き、インタビュイーに対して研究成果を説明しながらより深いヒアリングを実施する予定です。また、データベースは仮説の構築に伴って臨機応変に必要なものを取得していく計画です。
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