2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530440
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮川 壽夫 大阪市立大学, 経営学研究科, 准教授 (30584049)
|
Keywords | 経営学 / 配当政策 / コーポレートガバナンス / 人的資本 / 取引費用理論 / エージェンシー理論 / 所有権理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は企業による利益配分(ペイアウト政策)の意思決定メカニズムを解明することにあります。当該メカニズムは株主と経営者の利害対立を経て行われることから、企業が保有する人的資産等特殊性資産への両者の評価並びに企業の株主構成の特殊性に着目し、仮に情報の非対称性が存在しないとしてもこれまで批判的に捉えられてきた安定配当政策が実際には企業価値拡大にとって合理的妥当性を有するとの結論を導くことに大きな特徴があります。 研究成果は以下3つの仮説を構築し、実証したことです。経営者自らが指摘誘引を抑制した利益配分行動を選択するとの「経営者自己抑制仮説」。株主は経営者の能力の高さに裁量を委ねるとの「経営能力評価仮説」。株主は企業特化した特殊性資産を評価するとの「特殊性資産評価仮説」。 以上の仮説検証の結果について昨年度刊行した単著『配当政策とコーポレートガバナンス』(2013年中央経済社)に基づいて主に投資銀行や機関投資家向けセミナー等で実務家向けに発表を行いました。配当政策の実証研究をコーポレートガバナンスの考え方に応用した独創的な研究として高い評価を得るとともに新たな実証分野の開拓に貢献できたと評価しております。さらには本研究のアイデアをもとに、副産物ともいえる株主優待制度に応用した研究論文を発表できたことも大きな意義であったと思われます。
|
Research Products
(3 results)