2012 Fiscal Year Research-status Report
真の買収プレミアムの測定と決定要因―本源価値およびモメンタムからのアプローチ―
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23530442
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
文堂 弘之 常磐大学, 国際学部, 准教授 (30337290)
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Keywords | 買収プレミアム / 本源価値 / M&A / TOB |
Research Abstract |
今年度における研究の主な成果は2つある。1つは、本研究において使用するデータセットのうち主な部分を作成することができたことである。すなわち、表面的買収プレミアムPREMa、ターゲット企業の株主による持株提供比率TR、そして真の買収プレミアムPREMiの算定に不可欠であるターゲット企業の本源価値計算における資本コストrを概ね作成することができた。これによって、本研究の目的である、表面的買収プレミアムと真の買収プレミアムの測定に必要なデータセットの作成を、研究実施計画に概ね沿う形で進めることができている。2つめは、本研究を進める中で明らかになった関連の研究成果を論文として発表したことである。すなわち、日本経営分析学会の英語論文集(近刊)に「Takeover Premiums and Financial Characteristics of Target Firms in Japan」を、そして『常磐短期大学研究紀要』第41号(2013年3月)に「Bid Premiums and financial characteristics of target firms in Japan: contrasting the premium offers group and discount offers group」を発表した。この2つの論文では、日本企業のTOBにおける表面的買収プレミアムの特質について明らかにした。すなわち、日本の買収プレミアムはターゲット企業の財務的特徴と関連があること、そして、買収プレミアムとターゲット企業の財務的特徴の関係はプレミアム・グループの企業とディスカウント・グループの企業とで異なることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間計画で進める事業である。2年目の今年度は主にデータセットの作成を行う年度であり、本研究において使用するデータセットのうち主な部分を作成することができた。すなわち、表面的買収プレミアムPREMa、ターゲット企業の株主による持株提供比率TR、そして真の買収プレミアムPREMiの算定に不可欠であるターゲット企業の本源価値計算における資本コストrを概ね作成することができた。とくに資本コストの算定は理論的および実証的に最新の研究(とくに日本の研究)を参照して進めなければならない内容であり、その文献研究などのために当初の予定より若干時間がかかったため、当初計画で作成する予定となっていたいくつかのデータセットの作成に遅れが出たが、大きな問題にはなっていない。このように、本研究は、今年度まで研究実施計画に概ね沿う形で進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究の最終年度である。そのため、計画通り研究の最終仕上げに向けて事業を進める。具体的には、2年目に作成が途中になっている一部のデータセットを作成したうえで、本研究の仮説について検証作業を行う。申請書類での研究計画にも記したとおり、この作業では先行研究の結果を踏まえて、モデルに入れる変数を組み替えるなどの工夫が必要になる。再検証も繰り返して行う必要があるた、これらの作業には時間を要する可能性が高い。再検証の結果、新たにデータセットを作成し直す必要も考えられる。その際、必要に応じて最適なデータ提供業者を選択してデータを購入する。また、入力作業および統計分析作業をより効果的・効率的に行うためのノートPC等も購入する可能性がある。また、英語論文等で研究成果を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のとおり、2年目の作業のうち作成が終わっていないデータセットが一部残っている。この作成作業に必要なデータおよび研究資料の購入に使用する予定である。
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