2013 Fiscal Year Research-status Report
真の買収プレミアムの測定と決定要因―本源価値およびモメンタムからのアプローチ―
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23530442
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
文堂 弘之 常磐大学, 国際学部, 教授 (30337290)
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Keywords | M&A / TOB / プレミアム / モメンタム |
Research Abstract |
本年度は、市場モメンタムおよびターゲット企業株価モメンタムと買収プレミアムの関係について、1993年~2007年の日本企業へのTOB件を対象に実証分析を行った。その成果を、①「Bid Premiums and Market Momentum in Japan: Differences between the premium offers group and discount offers group」『常磐国際紀要』第18号、2014年3月、101-124ページ、②「Bid Premiums and Stock Price Momentum in Japan: Differences between the premium offers group and discount offers group」『常磐短期大学研究紀要』第42号,2014年3月、53-82ページに発表した。 ①の主な成果は以下の2点である。(1)プレミアムグループでは、通常相場での買収プレミアムがその他の時期におけるそれより高い一方で、ディスカウントグループでは、強気相場での買収プレミアムが他の時期より高く、弱気相場では他の時期より低い。(2)プレミアムグループでは、TOPIX12ヵ月モメンタム(上昇率)と買収プレミアムと負の関係がある一方で、ディスカウントグループでは、TOPIX6ヵ月モメンタムと正の関係がある。 ②の主な成果は以下の2点である。(1)プレミアムグループでは、ターゲット企業の6ヵ月前株価が最も低い場合の買収プレミアムは他のそれよりも高い。(2)ディスカウントグループでは、どの期間を調べても、TOPIX上昇率とターゲット企業株価上昇率の関連性が高くなるほど、買収プレミアムは小さくなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、本源価値の算定およびそれに基づくPREMiの分析を終了することになっていたが、本源価値の算定に用いる予定だったデータ提供業者のデータに一部修正を加えなければ正確な算定を行えないことが分析作業の中で明らかになったため、計画を若干変更して別のデータ提供業者のデータで調整したうえで、算定および分析を行なわざるを得なくなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、上記の理由で遅れが生じたデータ作成作業を進める。その後、作成されたデータを使用して、研究の目的である、(1)表面的な買収プレミアムPREMaと、ターゲット企業株価のミスヴァリエーション率(V/Pm:ターゲット企業の本源価値Vとターゲット企業のTOB前株価Pmの比率)との関係、および市場モメンタム指標(市場モメンタムMm、市場モメンタムとの同調性Mt/Mm)との関係、(2)TOB発表時における株価上昇率CARおよびTOB期間における持株提供率TRに対する、2つのプレミアム(PREMaと真の買収プレミアムPREMi)の説明力の高さの差を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、本源価値の算定およびそれに基づくPREMiの分析結果に基づいた成果を学会にて発表する予定であったが、本源価値の算定に用いる予定だったデータ提供業者のデータに一部修正を加えなければ正確な算定を行えないことが分析作業の中で明らかになったため、計画を若干変更して別のデータ提供業者のデータで調整したうえで、算定および分析を行うこととしたため、未使用額が生じた。 このため、本源価値の算定およびそれに基づくPREMiの分析とその成果の学会での発表を次年度に行うこととし、上記未使用額はその経費充てる予定である。
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