2012 Fiscal Year Research-status Report
地域再生プロジェクトの本格的スタートを促進するための調査研究
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23530458
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
寺石 雅英 大妻女子大学, キャリア教育センター, 教授 (20217409)
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Keywords | 地域再生 / 街づくり / 地域活性化 / エクイティ・スキーム |
Research Abstract |
(1)欧米諸国で採用されているさまざまなエクイティ型の地域再生スキームや地域再生ファンドに関する事例を分析・検討することによって、平成23年度に検討した地域再生版“The Valley of Death”を克服するための条件(リスクとリターンの共有を実現させる仕組み、数打ちゃ当たる型思考を実現する仕組み、民間のリスク資本を大量に調達できる仕組み、地域再生プロジェクトを一元的にコントロールできる仕組み)を満たす仕組みとして、「地域再生持株会社方式」の具体的スキームをデザインした。また、それによってプロジェクト自体、ならびに各地域再生プレーヤーがどのようなメリットを享受することになるのかについて考察した。 (2)地域再生持株会社の導入を円滑に進めるためには、最初から広範囲の地域再生プレーヤーの出資を仰ぐのではなく、まずは設立準備会社を創設するところからスタートして、段階的に株主の範囲を拡大させていく必要があるが、こうした一連のプロセスや地域内の地域再生に対するマインドを持ち上げていくペースと新株発行のタイミングを巧みに調和させていく資本政策のあり方を、ベンチャーファイナンスの一連のプロセスを参考にしながらデザインした。 (3)以上のようなエクイティ・スキームの導入に際して生ずる拒否反応や地域内でのコンフリクト(株式というものに対する拒否反応、前例がないことに対する拒否反応、持株会社に対する出資比率の決定に関するコンフリクト、経営陣の決定に関するコンフリクト等)を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、地域再生プロジェクトの計画・検討段階と本格的な実行段階の間に横たわる深刻なギャップを地域再生版の“The Valley of Death”と位置付け、それがどのような要因やメカニズムによって生み出されているのかを明らかにするとともに、これらを克服するための現実的な解決策として持株会社システムを活用した地域再生スキームの導入を提案することを目的としたものであり、本年度はその中で、次の3つの研究プロセスの完了を目指した。 (1)地域再生持株会社方式のスキーム設計 (2)地域再生持株会社方式導入のプロセス (3)エクイティ・スキーム導入にあたっての障害とその解決方法 これらの研究プロセスは、年度内にほぼ計画通りに進行し、かつ当初構築した仮説はほぼ検証されつつある。ただ上記(3)の「エクイティ・スキーム導入にあたっての障害とその解決方法」に関しては、年度内に完了したのは、前半部のエクイティ・スキーム導入にあたっての障害を抽出したにとどまり、後半部のその解決方法を明らかにするまでには至らなかったため、「やや遅れている」との自己点検評価となった。本年度に入ってからすでに、前橋市、伊勢崎市、太田市、長野原町における研究代表者の実践的活動をもとに、各種の拒否反応やコンフリクト等の障害をいかにして解決するかの分析・検討を開始しており、この遅れは早いうちに取り戻せる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本来は平成24年度内に完了する予定だった、エクイティ・スキーム導入にあたって生ずる障害の解決方法の検討を早急に遂行するとともに、ここまでの研究成果をマニュアル化する準備段階として、研究成果の普遍性や説得性をチェックすることがきわめて重要なプロセスとなる。一部の地域や特殊な環境においてしか適用できなかったり、現実には実行不可能な要素が含まれていては、マニュアルとしての利用価値が大きく低下するからである。これを効果的に実現するために、本研究に関する予備知識をまったく持ち合わせていない各地の自治体職員や経済団体職員へのレクチャーと聞き取り調査によって作業を進める方針である。 以上のようなプロセスによって、「地域再生プロジェクトの実施にあたって、どのような問題が生ずるのか」「その問題を克服するためにいかなる手段を用いるべきなのか」「特に留意すべき事項はどのようなことなのか」をわかりやすく解説したマニュアルを作成するのが、最終年度に目指すべきアウトプットである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、平成24年度内に予定していた、エクイティ・スキーム導入にあたって生ずる障害の解決方法の調査・検討作業を次年度に回したため、聞き取り調査やアンケート調査に伴う旅費や印刷代等が当初の計画よりも少なかったことによるものである。 次年度の研究は、本年度からずれ込むことになる上記の作業に加え、自治体職員や経済団体職員への聞き取り調査や「地域再生マニュアル」の作成に時間が費やされることになるため、研究費の大部分は以下の通り、聞き取り調査の際の旅費、「地域再生マニュアル」の作成に伴う物品費、謝金、印刷・製本費等に振り向けられることとなる。 (1)物品費 75,000円(プリンタトナー) (2)旅費 150,000円(自治体・商工会議所等への聞き取り調査) (3)謝金 800,000円(資料整理・マニュアル作成補助) (4)その他 718,000円(印刷費・製本費)
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