2013 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの日系電子部品メーカーにおける能力構築と変革のマネジメント
Project/Area Number |
23530460
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
周佐 喜和 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (50216149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曹 斗燮 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (20262834)
銭 佑錫 中京大学, 経営学部, 教授 (00329658)
二神 枝保 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (10267429)
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Keywords | 企業間関係 / 技術の下方硬直性 / 国際経営の機動力 / 消極的な新興国市場開発 |
Research Abstract |
最終年度は、タイと台湾で調査を実施した。タイにおける調査では、洪水被害からの回復状況と新たな事業展開の方向を把握することを目標として、日系部品メーカーの現地法人に聴き取り調査を実施した。その結果、洪水被害の影響は深刻で、生産量や従業員数でみると、洪水以前の水準に回復していない企業が多かった。また、多くの企業がこの機会に不採算事業からの撤退や最適生産地の見直しなど、リストラを進めていることが分かった。ただし、タイ生産拠点がこれまで蓄積してきた現地の能力を活かせるような新たな事業機会は、まだ模索中のところが多かった。新興国の顧客企業開拓などの事業機会の存在は認識しているものの、そこに踏み込むだけの経営決断ができていない現状が浮かび上がった。 台湾では、日系企業と部分的に競合し、他方で補完関係にある現地企業の調査を実施した。その結果、日系企業は、素材や部品などにかかわる要素技術では、現在でも台湾企業に先行しているものの、事業拡大に結び付けられていない現状が浮かび上がってきた。台湾企業は、特定の企業と密接な関係を結ぶことはしていないものの、適正技術で顧客企業の要請に応えたり、素材や部品の組み合わせを柔軟に作りかえることで、競争力を高めている現状が判明した。純粋な市場取引とも、日本型のクローズドな取引関係とも異なる企業間関係が、その本質にあると考えられる。 研究期間全体を通じては、日系電子部品メーカーが、製品技術・生産技術の改良・開発を着実に進めていながら、新たなセットメーカーやサプライヤーとの取引関係の構築を通じた新興国市場の開拓には消極的であるという点が明らかになった。他方で、国際経営の機動力を高めて、高い成長率を実現している企業の存在も明らかになった。
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Research Products
(2 results)