2011 Fiscal Year Research-status Report
医療ミスを経験させる知識シミュレーションのナレッジマネジメント研究
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23530462
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山崎 友義 宮崎大学, 医学部, 技術補佐員 (50586609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 斎王 宮崎大学, 医学部, 准教授 (60305084)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 人的資源管理 / ナレッジマネジメント |
Research Abstract |
宮崎大学医学部附属病院(宮崎大学病院)が作成した匿名化電子カルテを用いて、インシデントを発生した20症例を抽出し、その記録内容より知識パスシステムを作成した。知識パスシステムの作成では、匿名化電子カルテで任意にクリニカルパスを作成・導入を可能にするシステムを開発した。この結果、知識パスシステムを用いて、失敗を経験・評価できる知識パスシステムは次年度より可能となった。特に宮崎大学病院の匿名化電子カルテは、6万5千人のリアルな患者データを匿名化した電子カルテであり、これを利用した知識パスシステムは、電子カルテを導入した医療施設の医療安全教育・管理に有効である。この成果は、次年度で医療安全や医療マネジメントに関連する学会発表する。医療従事者が知識パスシステムを利用できるタブレット型端末システムの開発のため、宮崎大学病院が開発した電子カルテに連携したスマートフォン端末システムでクリニカルパスの運用業務を調査した。調査結果より、クリニカルパスを用いる医療業務で、スマートフォン端末は効果的で効率的な利用がおこなわれており、知識パスシステムの運用を可能とする評価ができた(第12回日本クリニカルパス学会学術集会で発表)。さらに匿名化電子カルテを用いて、クリニカルパスを実践的に改良する手法も開発した(第12回日本クリニカルパス学会学術集会で発表)。この手法を次年度は知識パスシステムに反映させることで、知識パスシステムを医療受持者が容易に利用できる環境整備ができた。医療従事者が知識パスシステムを利用して獲得された知識の評価を、利用者の記録文書をキーグラフで評価するシステムを開発した。このシステムでは、記録に記載された語彙の関連性を定性的に図示することができ、客観的な評価を可能にした(インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会報告書で発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているとした理由を以下に示す。初年度の研究計画では、以下の2点の達成を目的とした。(1)知識パスシステムの作成(2)知識パスシステムの運用と獲得する知識の評価方法の開発(1)については達成されたが、宮崎大学病院の医療従事者に利用させる前に、宮崎大学医学部学生への利用調査を行い、その結果を踏まえて行う知識パスシステムを改良する。ただ、この成果を23年度内に発表することは出来なかった。(2)についてはおおむね達成されている。知識パスシステムの運用は、宮崎大学病院のスマートフォンシステムを利用することができ、タブレット型端末を用いた医療従事者への調査は可能となった。知識の評価法で知識パスシステムの利用者が記載する記録を従来の質的調査ソフト以外に、キーグラフを用いて記録を評価する手法を開発した。電子カルテと連携したスマートフォンシステムとキーグラフによる文書解析の成果は、23年度で報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は開発した知識パスシステムを医学部学生の安全教育で利用し、その結果をもとに宮崎大学病院の医療従事者へ、スマートフォンシステムを媒介して利用調査を行う。利用調査で得られた記録を収集・解析する。その結果をもとに、医療リククを回避できる実践的知識を獲得するまでの知識変化の過程を説明できるナレッジマネジメントの理論的モデルを構築する。25年度は構築した理論モデルより、医療従事者が知識パスシステムを用いて、医療の質の向上と安心安全に貢献できる実践的医療知識を獲得できるガイドラインを作成する。作成したガイドラインに基づいて知識パスシステム内容を改善する。改善した知識パスシステムを医療従事者が再び利用し、得られたデータより理論モデルとガイドラインを改善する。このサイクルが繰り返し行える組織的な仕組みを宮崎大学病院でデザインする。 得られた成果は学会等で発表・公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
宮崎大学病院の医療従事者が知識パスシステムを利用するためのタブレット型端末の配布として30万円(6台×5万円)、医療従事者へのプレゼンテーション用HD対応パソコン1台として25万円、学会発表(海外:1回を含む)の旅費として80万円、書籍代が10万円、消耗品・学会発表準備費が25万円を予定している。医療従事者へのプレゼンテーション用HD対応パソコンは、宮崎大学病院の電子カルテで用いている端末のディスプレイがフルHDのため、知識パスシステムの説明時に必要となったためである。
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Research Products
(6 results)