2012 Fiscal Year Research-status Report
医療ミスを経験させる知識シミュレーションのナレッジマネジメント研究
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23530462
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山崎 友義 宮崎大学, 医学部, 研究員 (50586609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 斎王 宮崎大学, 医学部, 准教授 (60305084)
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Keywords | 人的資源管理 / ナレッジマネジメント |
Research Abstract |
23年度は、宮崎大学医学部附属病院(以下宮崎大学病院)が作成した匿名化電子カルテより、インシデントを発生した症例を抽出し、その記録内容から知識パスシステムを組み込んだ教育用電子カルテを作成した。作成した教育用電子カルテは、宮崎大学病院の電子カルテと同じ操作で、患者や医療従事者の個人情報以外のリアルなデータを閲覧できる。学生はリアルなデータを閲覧し、そのデータを用いて実践的な医療知識を獲得することが可能となった。24年度は、この医療安全教育用電子カルテを用いた医療安全教育を宮崎大学医学部学生(5年生:99人)に実施した。この医療安全教育の目的は、学生がインシデントの誘因や対処方法、他の職種との効果的なコミュニケーションを学ぶことで、ミスを防止できる実践的知識を獲得させることである。この教育内容と結果の成果を、2012年11月に開催された第7回医療の質・安全学会、同12月の第13回日本クリニカルパス学会で発表した。 教育用電子カルテを作成するための基礎として、医療ミスを防止するためのチーム医療に求められるナレッジマネジメントの理論モデルを、7月にアメリカのサンフランシスコで開催された第4回International Conference on Applied Human Factors and Ergonomics で発表した。この理論モデルは、宮崎大学病院で行われているチーム医療の中で、統合知と個人知の異なる知識の相互作用が、知識の共有・活用・創造を促していることを示した。24年度は、このモデルに基づき、統合知であるクリニカルパスと個人知である経験知の相互作用を経験できる教育用電子カルテ教育内容の改良と、実践的ガイドラインを作成し、改良された教育用電子カルテと実践的ガイドラインを用いて、医療安全教育の理論モデルとガイドラインを構築した。この成果は次年度で発表・公表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているとした理由は、初年度で進展していなかった事項の一部を24年度に達成できなかった(評価の検証)が、24年度の達成目標である、理論モデルの構築とガイドラインの作成は達成できた。 <上記の詳細を以下に示す> 未達成のデータ評価検証システムは、キーグラフの手法による文書解析の手法は開発したが、実際のデータを用いての検証を24年度内に実施できなかった。理論モデル構築とガイドライン作成のデータ収集は、匿名化電子カルテより、入院期間中にインシデントを発生した症例を抽出し、その記録内容から知識パスシステムを組み込んだ教育用電子カルテを作成し、これを用いた医療安全教育実施より得られた。この成果を、日本クリニカルパス学会誌に投稿するとともに、平成25年9月にドイツ、ハイデルベルグで行われる2nd World Congress of Clinical Safety で発表する予定である。理論モデルは、医療安全教育用電子カルテを用いた医療安全教育を宮崎大学医学部学生(5年生:99人)に実施して得られたデータと、先行研究の結果を用いて構築できた。この安全教育を実践的に行えるガイドラインの第1版を作成し、この成果を第13回日本クリニカルパス学会学術集会で発表した。タブレット端末による調査方法の開発で得られた研究成果は、医療マネジメント学会誌に投稿中である。理論モデルの検証計画は24年度内に達成できなかったが、初年度から24年度で達成すべき研究計画はおおむね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策 研究計画の25年に達成すべき項目は、ガイドラインの第1版に基づいて、知識パスシステムを組み込んだ教育用電子カルテを改良し、これを用いた医療安全教育を実施して得られたデータより、理論モデルの改良と第2版のガイドライン作成することと、その成果発表と教育用電子カルテのデータを用いて検証と評価を行う。成果発表としては、国内外での学会発表と論文の投稿、Webでの公開を予定している。さらに、上記の教育用電子カルテとガイドラインを用いて、病院の医療安全や経営に携わる医療従事者への教育プログラムを作成・実施する。このプログラムで得られたデータも理論モデルとガイドラインの改良に用いる。データの評価はキーグラフを用いる。これらの成果も国内外で発表・公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰り越し金を含めて190万円が最終年度の研究費である。最終年度は成果の発表・公表が主な研究費の支出となるため、国内外での成果発表の旅費として140万を予定している。その他の支出は、消耗品が20万円、書籍代が5万円、その他雑費が25万円を予定している。
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Research Products
(16 results)