2011 Fiscal Year Research-status Report
新事業開発における事業化への飛躍と後退をもたらす経営要因に関する研究
Project/Area Number |
23530465
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 基成 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10158222)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 技術イノベーション / 新事業開発 |
Research Abstract |
研究の1年目である平成23年度は、事前の研究計画に基づいて新事業の創出に取り組んでいる企業へのヒアリング調査を実施し、試論的なモデル構築を試みた。具体的には従来の事業とは異なる新事象の創出に取り組む中小企業5社と、中国で新事業に取り組む大企業4社への訪問調査を行い、ヒアリングにより必要な資料を収集した。それと同時に、大学院生の協力を得て関連する研究成果の文献サーベイを行い、データならびに資料を整理して、2年目の本格的なヒアリング調査の準備作業をほぼ計画通りに終えることができた。 とりわけ、この研究の焦点として取り上げる新事業の創出活動の遅滞や後戻りをもたらす原因や要因について、開発を目指す新技術や新製品のコンセプトやアイデンティティに関する新規性や画期性の程度が、開発活動に要する時間や費用を大きく左右し、活動の進捗に影響を及ぼすという新たな知見を得ることができた。この研究成果は論文「日本企業に求められるイノベーション行動」として、『産政研フォーラム』No.91に寄稿した。 また、現段階での試論モデルをベースにして研究成果の一部を、平成23年10月に開催された日本中小企業学会第31回全国大会の統一論題において、「イノベーションと中小企業の新事業創出」のテーマで報告し、他の研究者との討論を通じて今後の課題や検討すべき事項に関する知見を深めることができた。その後、この報告内容を基にした論文を執筆し、平成24年6月末に刊行される日本中小企業学会論集に審査論文として掲載される予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度である平成23年度の主たる目的は、予備的なヒアリング調査を通じて試論モデルの構築を試みることと、関連する研究成果に関する文献サーベイを行ってデータや資料を整理することであったが、この両者とも大学院生の協力を得ながら、ほぼ当初の予定通りに作業を進めることができた。 また、現段階での研究成果を論文や学会報告を通じて発表することができた。とりわけ、中小企業学会全国大会では統一論題報告の機会を与えられ、研究内容について多くの学会員との情報交換や議論を重ねることができ、大変に有意義であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度については、前年度に構築した試論モデルと新製品の事業化を実現するための事業アイデアの有効性について、できるだけ数多くの企業へのヒアリング調査を行うことでサンプル企業の数を増やして理論仮説の検証を試みる。とりわけ、規模規模や業種による影響を小さくするために、小規模企業から大企業まで対象企業の規模の幅を拡げたり、業種についても機械関連の企業だけでなく、日用生活用品を扱う企業なども含めるように配慮したい。また、関連する研究成果の文献サーベイも継続して行い、既存の研究成果との差別化を図りたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度からの10万円ほどの繰越額については、仮説検証のためのヒアリング企業の数を増やすさいの旅費として使用する予定である。 また、次年度に交付される研究費については、当初の計画に沿って、研究テーマに関連する文献の購入、ヒアリング調査のための旅費、ならびに収集した資料やデータ整理のための謝金を中心に使用する予定であり、これによって研究を円滑に進めることができると考えている。
|
Research Products
(5 results)