2013 Fiscal Year Research-status Report
日本企業のグローバル化における言語戦略と組織能力の構築に関する探索的研究
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23530466
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
澤木 聖子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40301824)
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Keywords | 社内公用語 / 組織能力 / 英語化 / 多言語によるマネジメント / 韓国企業の英語化戦略 / TOEICの活用 / アジアヘッドクォーター特区構想 / 国際ビジネスコミュニケーション |
Research Abstract |
アジア等非英語圏の新興国企業及び市場の成長による国際ビジネス環境におけるプレイヤーの増加に伴い、多くの日本企業においても、グローバル化志向の戦略転換が図られて久しい。かつて、90年代後半のアジア通貨危機に端を発す韓国企業のグローバル化への急展開に乗じて見られたICTと英語化の国家戦略など、企業をとりまく戦略転換は、多文化間マネジメントの枠組における組織能力の向上に傾注しているともいえる。 本研究では、2000年前後に台頭した日本企業をめぐる社内公用語英語化論の現象を通じ、企業の戦略的人的資源管理施策への導入状況について知り、組織能力の構築に及ぼす影響過程について調べることを目的の一つとしている。そのため、過去の研究知見に基づき、2010年台の現在、社内公用語英語化に関わる多面的な課題を提示し、再評価を試みるものである。日本企業にとり、日本語を中心とした国際ビジネスが日本企業に与える弊害は、誤解・意思決定の遅れなど言語を原因とした組織能力の低下、日本語を重視することによる現地人材の喪失など、組織マネジメントにおいて深刻な課題を浮上させてきた。平成25年度の研究では、これらの従前の問題に対して、企業の評価を確認する目的で半構造的インタビューを実施した。また、韓国企業の英語化について、TOEICの受験者傾向やスコアの比較を取り上げながら考察することを前年から継続的に行い、変化する実態把握に努めた。組織内の昇進要件に重視される余り、企業人のTOEIC不正受験が取り沙汰されるなど、韓国においても行き過ぎた英語化の副作用が顕在化している。 また、本研究を遂行していく過程で、東京をアジアゲートウェイとした外資系企業誘致策に関する地域社会を通じた英語化の動向も挙げられ、調査を開始することができた。これら研究知見の一部は、所属学会である経営行動科学学会の年次大会において報告することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、平成25年度内に予定していた、韓国本国親会社を対象とした企業調査が実現できなかったという経緯がある。この原因は、先方企業様と当方の公務との関係から、日程調整に支障が生じた点にある。また、日本企業の製造業・非製造業を対象とした定量本調査の実施も継続的に行うことが課題として残されている。2つの所属学会の全国大会が同日開催となったため、発表機会が限られたことも残念であったが、それら以外は、研究計画を概ね順調に遂行できたものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに達成できなかった研究計画を着実に遂行することと、成果の報告機会をできるだけ多く設け、企業様や関連機関の専門的フィードバックを得ながら、研究成果の精緻化を図りたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画年度内に、当初予定の企業調査が、先方企業の都合と、当方の日程調整が折り合わず、実施することができない状況にありました。また、それに関連するデータ収集、分析のための諸費用の執行が叶わず、次年度に使用額が生じる事態となりました。 昨年度に実施予定であった研究計画の遂行に伴い、主に企業調査のための予算執行を計画しています。企業をとりまく国際ビジネス環境や社会情勢の変化に伴い、研究計画の一部を発展させる必要が生じつつあります。このことに鑑み、継続的な資料収集や取材費用、最終段階の質問紙調査の作成費用と調査実施後のデータ分析補助作業の人件費として、研究費の使用を考えています。
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Research Products
(2 results)