2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530467
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曳野 孝 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (50301825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
チョルパン アスリ 京都大学, 白眉センター, 准教授 (70511286)
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Keywords | ビジネス・グループ / 大企業 / 経済発展 / 経営組織 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本年度は、実証的な研究に本格的に進めながら、研究成果を理論的に整理して、特に国際学会における研究発表を活発に行った。特に成熟経済におけるビジネス・グループに焦点をあてた研究に関して理論的な整理が進み、それに対する批判を国際学会での議論で受けることによって、新しい視覚が確立できてきている。 この新しい視覚によって、ビジネス・グループ、特に巨大なグループが非関連多角化を製品戦略として追求し、持株会社と子会社という組織構造を維持してきたが、この戦略と組織との特徴に関して、これまで開発途上市場においてのみ、企業の競争力の向上に積極的な役割を果たし、当該国の長期の経済成長に多大な貢献をしてきたとされてきたビジネス・グループを、成熟経済においても競争優位を構築できる理論的な核が整備できたと考える。劣位に陥ると理解されてきた。 その場での議論を充実される目的から、6月にイスタンブールで開かれたAcademy of International Businessおよび8月にウプスラで行われたEuropean Business History Associationの年次大会においての発表を行なった。また3月には、これまでの研究を統括する意味から、京都において国際会議を開催した。この会議は、特に先進経済のビジネス・グループをテーマとして、約14ヶ国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ノルウェー、ベルギー、オーストラリア、カナダ、日本および今日の新興経済圏)における同企業類型の長期的な発展趨勢を比較的に体系的分析を加えることを企図した。これらの対象国から、それぞれを代表する研究者に参加を求め、この研究課題についての世界的なレベルでの先端研究を統合することを目標とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の項で強調したビジネス・グループ内部の競争資源についての議論が不足しているという問題意識を今年度において研究上で体系的に考察できた。その意味で、これまでの研究の達成度には満足している。 すなわち、近年の企業競争力に関する研究が、かつてのポーター流の外部環境重視ではなく、内部資源に着目するという視覚の移動を考慮すると、この問題意識は重要視されるべきと思われる。この新しい内部資源の視覚は、初年度の実証成果の不足を補って余りあると考える。第2年度、第3年度およびそれ以降の年度について、実証研究、特に企業へのインタビュー調査において、質問項目の組み合わせを再考する機会を与えられただけでなく、研究全体の調査の再検討が可能になった点で、大きなプラス効果をもたらした。さらに、初年度、第2年度から引き続いていくつかの国際学会でその成果を報告できたことは大きな成果と考えられる。 研究分担者であるアスリ・チョルパン准教授は、平成24年度から平成25年度にかけてアメリカ合衆国のハーバード大学およびマサチューセッツ工科大学において客員教授の任にあり、アメリカを中心とする先進経済のビジネス・グループの研究に従事した。その成果を受けて、京都での国際会議を開催できたことは、研究の体系化という観点から大きな意義があり、多大な成果があったと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度から完成年度である平成27年度に至るまで、以下の3点の項目に注力したい。まず、平成24年度において収集した世界のビジネス・グループのデータを統一的に考察し、体系的に分析すること。これについては、従来の研究が焦点としてきた開発途上経済における経営環境とビジネス・グループとの関連についての分析だけにとどまらず、とくに成熟工業経済におけるビジネス・グループを含めた包括的な考察をより体系的に進めていきたい。 第2点として、このような分析の過程で明らかになってくる基礎的なデータの不足を補うために、追加的なデータの収集を続けていきたい。この研究が実証的な根拠に基づく性格のものである限り、地道ではあるがデータの補強と充実は不可欠の研究プロセスであると考えているからである。第3点として、上記の2点を通じて明らかになるビジネス・グループの概要と理論的根拠を様々な国際的な機会を設けて公表していきたい。 さらに、このような分析を国際的な研究成果として共有するために、また本研究後のより包括的なプロジェクトである大企業の発展の国際比較に向けた準備を進行させる目的から、平成26年3月に開催した国際会議のメンバーを中心に組織化することを進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本科研費の初年度に研究代表者が体調を壊し、予定通りの海外出張等の予算の執行が不可能な状況が続いた。過去2年度において、この分の予算の執行に努めてきたが、まだすべての計画を実行に移せていない状態である。 本年度および完成年度において、当初予定していた研究計画、とくに海外の国際学会における発表を行っていく計画である。
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Research Products
(6 results)