2011 Fiscal Year Research-status Report
役員人事と戦略 戦後日本の低迷、暴走、独走企業の分析
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23530469
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
日野 恵美子 福山大学, 経済学部, 講師 (40550059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三品 和広 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (40283155)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 戦略 / 経営者 / 暴走 / 役員人事 |
Research Abstract |
かねてより構築中の経営者データベースの拡充を行った。とりわけ、情報収集や判断が困難で保留していた一部の経営者の在任期間について調査を進め、それがほぼ完了した。そのデータを用いた分析、論文執筆に着手した。これは、「暴走」、「迷走」、「独走」した経営者の役員体制に関する研究の背景となる。 暴走経営者に関しては、暴走事例の分析結果を研究分担者と共有し、リサーチデザインの詳細を議論しつつ、その役員人事のデータを収集した。その結果、経営者を「暴走」、「迷走」、「独走」に分類するに留まらず、より綿密な分類が望ましいという判断に至った。分類の軸の一つは、暴走の種類であり、「多角化」や「国際化」などが挙げられる。もう一つの軸は、経営者の特性で、たとえば「創業経営者」か否かなどによって分類できる。平成23年度には、暴走した経営者のうち、「多角化」などの分野で暴走した創業経営者を対象として予備的分析を行い、論文を執筆した。それと並行して、他の分類の暴走経営者についての研究も進めている。具体的には、有価証券報告書を中心にデータを集め、変数の構築に着手した。なお、上記の論文は、そのデータ収集や打ち合わせにあたって科学研究費を用いていないため、今回の報告書には記載していない。 平成23年度の研究実施計画には、「電気・精密機器産業の役員人事のデータの収集」と書いたが、上述のように、暴走や経営者の性質による分類を重視するため、特別に業種を限定したデータ収集は行っていない。ただし、同産業のデータも平成23年度に収集したデータに自ずと含まれる。 研究実施計画に書いたように、暴走したとされる経営者に関するインタビューは慎重に行うべきであり、上述の多様な切り口からの分析がいっそう進展するまで、インタビューは保留すべきであると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したように、議論の深化に伴い、リサーチ・デザインに変更があった。それ自体は望ましいことであり、「広く浅く客観的」な調査に加え、「広く深く客観的」な調査が実現する可能性がある。ただし、それによって、インタビューの実施が遅れる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
経営者の在任期間のデータベースの構築と、論文の執筆が現在進行中であり、これを完遂するのが最優先である。暴走した経営者について、範囲を広げ、より深堀りするという方針に基づき、情報収集や分析、打ち合わせを継続する。 暴走した経営者の研究の進捗に応じて、インタビューの計画を立てる。 上記と並行して、独走事例の分析結果の共有と、データ収集に着手し、平成25年度の研究に向けての仕込みに取りかかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・データ収集 旅費と謝金、物品費を要する。科学研究費の応募時には、謝金が多くを占めていたが、研究代表者が所属機関を移ったため謝金の使用が難しくなり、また、自身で調査するために旅費が必要となった。ゆえに、当初予定に比べ、謝金より旅費を多く使用することになる見通しである。データ収集や処理、分析のために電子機器を購入する予定である。・打ち合わせ 旅費を要する。・インタビュー 旅費と物品費を要する。
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