2012 Fiscal Year Research-status Report
役員人事と戦略 戦後日本の低迷、暴走、独走企業の分析
Project/Area Number |
23530469
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
日野 恵美子 福山大学, 経済学部, 講師 (40550059)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三品 和広 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (40283155)
|
Keywords | 経営者 / 在任期間 / 役員人事 |
Research Abstract |
主な成果は経営者データベースの拡充であり,経営者の在任期間の変遷に関する論文をおよそ執筆した。また,次の論文に関する方針や方法もほぼ固まっている。 経営者データは,古い時代になると収集の難易度が上がる。有価証券報告書が入手可能でも,十分な情報が記載されていない場合もあり,社史や新聞記事の他,各種の資料を用いる必要がある。時間を要するが,国内最大規模のデータベースを構築していると推測される。経営者に関する大規模実証研究を進めるにあたって様々な活用方法があり,このデータベースに基づいて数編の論文が執筆可能である。 経営者の在任期間の変遷に関する論文もその一つである。短い期間を対象とした先行研究や,特定の時点を対象とした先行研究はあるが,約半世紀の推移を追った研究は見当たらず,新しい知見をもたらすと期待できる。当該論文においては業績との関連についても論じており,「暴走経営者」や「名走経営者」の役員人事に関連する研究の一つとなると考えられる。 共同研究者との議論を重ね,他に3編の論文の方針や方法がほぼ決まっている。いずれも暴走経営者に焦点を絞ったものである。役員人事が最大の関心事ではあるが,暴走を説明するには他の要因にも目を向ける必要がある。有力な候補の一つが経営者のキャリアであり,具体的な測定方法もを考案した。また,一つのタイプの暴走に焦点を絞り,その役員人事に関する論文も執筆する。これに関しては,誰がいつ暴走したのかを特定するところから始めなければならないが,検討の結果,有効だと考えられる方法を見つけるに至った。 単に業績が良かったか否かというだけで経営者を分類するのは簡易ではあるが乱暴でもある。単なる低業績ではなく暴走,高業績ではなく名走という括りをする。さらに,暴走と言っても損失を出した場合にもその理由は様々であり,さらに適切な区分を入れるのが,一連の研究の肝である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科学研究費助成事業の応募後に所属機関と居住地が変わることになった。それに伴い,謝金を支払ってデータ収集をする予定であったのが,旅費を使って前所属機関やその近隣の施設に自らデータを収集しに行くことになった。研究員から教員に身分が変わり研究への時間配分が減らざるを得なかったことも加わり,応募時の想定よりもペースが遅くなっている。 暴走経営者の研究に,当初の期待以上に高い重要性や多くの切り口があるということが,研究を進めるうちに分かってきた。そのために当初予定より充実した成果を出せると期待している。その余波で,名走経営者の研究には遅れが生じている面もあるがが,暴走経営者の研究には時間をかける意義があると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
経営者データベースをさらに拡充する。 現時点で暴走の主役と時期が判明していない事例の調査を進める。 これまでの蓄積に基づき,3編の論文の執筆に向けてデータの分析を進める。 暴走,迷走,名走の3タイプの経営者に関する役員人事の研究が従来の目的であるが,暴走経営者に関する研究に重点を置きながら他の2タイプの経営者に関する研究も進める。また,役員人事では説明しきれない部分について,他の変数も盛り込んでいく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
科学研究費助成事業の応募後に所属機関と居住地が変わることになった。それに伴い,謝金を支払ってデータ収集をする予定であったのが,旅費を使って前所属機関やその近隣の施設に自らデータを収集しに行くことになった。研究員から教員に身分が変わり研究への時間配分が減らざるを得なかったことも加わり,応募時の想定よりもペースが遅くなっている。とりわけ,平成23年度に小さくない遅れが生じ,その分は平成24年度に取り戻したものの,当初の平成24年度分の予定は完遂できていない。上記の事情のため,未使用額の大半は旅費に充てる予定である。 具体的な使用計画は以下のとおりである。 引き続き,大半を旅費として使用する。引き続き,データベースの拡充を計画しており,その収集のために旅費を使用する。また,分担者との打ち合わせのためにも旅費を使用する。 以上が主たる用途であるが,この他に,データ収集や処理のために記憶媒体などを購入する予定である。
|