2012 Fiscal Year Research-status Report
組織管理が看護師のワークエンゲージメントおよび患者満足に与える影響の研究
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23530470
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
竹田 明弘 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (90330505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北居 明 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (30278551)
勝山 貴美子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10324419)
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Keywords | 職務満足 / 組織行動 / 患者満足 / ワークエンゲージ |
Research Abstract |
平成24年度については(1)患者満足に寄与する看護行動とはどのようなものかについてのさらなる検討 (2)調査実施に関する打ち合わせ (2)質問票調査作成を中心に実施するという計画であった。それをふまえ平成23年度および24年度に実施した職務満足に関する試行調査の結果分析を行った。なお、試行調査では県立病院2病院の調査を対象として、看護師の就業初期の職業価値が、現在の職務満足に与える影響について分析した。調査項目は、職業価値については、E.H. Schein (1993)のキャリアラダー調査の調査項目、職務満足についてはJob in Generalを用いた。 Schein (1993)は、専門・職能別コンピタンス、全般管理コンピタンス、自律・独立、保障・安定、起業家的創造性、奉仕・社会貢献、純粋な挑戦、生活様式の8つの職業価値で構成される。この8つについて、それぞれ5つの質問項目を設けている。ここでは、その5つのスコアの合計値を5で除した数値を、そのコンピタンスのスコアとした。JIGについては構成される18の質問項目について、因子分析を行った。因子分析の結果として、職務満足を象徴する因子が構成する9つの質問項目について、そのスコア合計を9で除した数値を職務満足スコアとした。また、職務満足感については、就業後にキャリアの中で変化していく可能性が考えられる。それゆえ、看護師を就業後10年未満群と10年以上群に分類し、それぞれについて相関分析を実施した。結果として、就業後10年未満群と10年以上群のいずれについても、就業時に重視する職業価値として奉仕・社会貢献、純粋な挑戦のスコアと現在の職務満足の相関係数が高い傾向にあった。この結果をふまえ、これら職業価値を念頭においた質問票を開発したうえで、次いで実施される患者経験調査について、患者経験調査の看護師版の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は5年計画であり、昨年度はその2年目である。研究計画では、本年度中に調査対象病院を確定する予定であった。しかし、調査対象病院の統合による計画の遅れ、また、学内の倫理委員会での指摘により、その対応のため本調査の対象病院がすべて確定していない状況である。本年度は、それぞれの調査項目の確定ととともに、調査対象病院を早急に確定していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は看護師の組織特性と組織行動、患者満足をつなげることを目指した研究である。 その中で、看護師の組織特性に関する調査については一次レベルまでは終了した。組織特性の調査についても継続的に実施していく必要があるが、今後は組織特性と組織行動の関係、組織行動と患者満足の関係について焦点を当てることで、ワークエンゲージメント(もしくは職務満足)→組織行動・態度→患者満足の関係を浮き彫りにする。 また、これらの調査はおおむね一時点の調査で分析されるが、よりその関係を明らかにするためには、組織特性の変化が組織行動の変化に与える影響を見ていく必要がある。一次調査を実施した調査対象病院についても、2次調査の打ち合わせを行っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画書の段階では、平成25年度は(1)質問票調査の実施・分析 (2)患者満足と組織管理に関するスタティックモデルの構築の予定である。それゆえ、本年度の研究費は患者満足調査に関する調査実施、分析に関する費用におおむね使用される予定である。しかし、現在まで達成度の欄で記入したように、いまだ調査対象病院が全て決定していない状況である。それゆえ、研究費の一部は調査対象先への依頼、打ち合わせにかんする旅費に使用される。 また、スタティックモデル完成のために、さらなる文献検討も必要である。それゆえ、経営学的文献の収集、看護管理文献に関する収集にも研究費を使用する予定である。 なお、本調査の一環として患者情報を取り扱うことになるため、学内倫理委員会の審査を受けた。そこで、調査方法に関して一部指摘があり、次年度の委員会での審査となった。それゆえ、調査スケジュールが一部遅れ、研究費の使用に残額が生じた。
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Research Products
(1 results)