2014 Fiscal Year Research-status Report
組織管理が看護師のワークエンゲージメントおよび患者満足に与える影響の研究
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23530470
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
竹田 明弘 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (90330505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北居 明 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (30278551)
勝山 貴美子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10324419)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 患者経験 / 患者行動 / 患者満足 / 職務満足 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は患者経験に関するインベントリーの開発を行った。医療サービスを評価するうえで、治療の質(ex.長期入院患者の縟瘡発生率、糖尿病患者の血糖コントロール)は重要な要因である。しかし、情報非対称性が大きい医療分野において、患者自身が治療の質を客観的に評価することは困難である。それゆえ、医療サービスに対する評価は治療の質だけでなく、むしろ医療機関でどのようなサービスを受けたかに関する患者自身の認知的評価によるものが大きい。 そこで、医療機関では患者満足調査が積極的に行われている。一般的な患者満足調査は、そもそも患者の認知に対する調査であるため、たとえば、「看護師の接遇はどうでしたか」という設問に対して「よい・よくない」の連続線上(5段階尺度など)で回答させ、その上で、回帰分析などの統計的手法を用いて、全体評価としての患者満足との関連で有意な項目について抽出するという方法をとることが多い。しかし、この方法だと、例えば看護師の接遇が重要であるとわかったとしても、具体的にどのような行動が患者の好意の認知を引き出すのかについてフィードバックすることができない。 本調査では、小泉(2004)にならい、よい・よくないという回答方式ではなく、「あなたは自分が受ける治療について自分の考えや意見を言うことができましたか」という設問に対し、「言えた・言えなかった」という具体的な行動調査に伴う調査を実施することにした。調査項目の設計には、顧客満足調査の代表的なインベントリーであるSERVQUAL(Parasuraman,Zeithaml,Berry 1985)を参考に、次元としては、信頼性、反応性、確信性、共感性の4項目を採用した。また、それぞれの調査時限に対して、それぞれ設問項目を4つ設定するということで、インベントリーを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査の進行が遅れた理由として、調査対象病院の確定に苦慮したことが最大の要因である。本調査は患者自身に実施するため、最大の倫理的配慮が必要であり、協力病院を見つけることが初年度に実施した職務満足調査以上に困難であった。また、患者満足調査は、ほとんどすべてのインベントリーが、よい・よくないという認知を調査するものであり、項目作成に関して既存研究の洗い出しについても時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、3つのことを実施することで、報告書を作成する。1.開発したインベントリーをもとに、近畿圏、首都圏、東海圏、九州地方の医療機関に対して実施するとともに、それを早急に分析し、患者満足に最も寄与する看護経験をあぶりだすこと。 2.調査対象病院の職務満足に関する状況調査を並行して行う。 3.上記二つの関連についての結果分析の妥当性確保のために、それを補足するインタビュー調査を行う。
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Causes of Carryover |
調査の実施に関する旅費に大きくずれが生じたことが最も大きな要因である。また、それに加えて、調査分析を補佐する人員に関する費用が不要になったこと。また、調査解析に関する諸費用についても不要になったためである。次年度に調査を持ち越したため、上記費用はすべて使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者経験調査、ならびにそれを補足するインタビュー調査など平成26年度実施できなかった調査を実施する予定である。また、平成27年度は最終章報告についての学会報告も実施する。繰り越した研究費についての大部分を旅費で使用する予定である。
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