2011 Fiscal Year Research-status Report
特許情報を用いたイノベーション創出メカニズムに関する網羅的分析
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23530471
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
犬塚 篤 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30377436)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 特許引用 / 潜在特許 / 顕在特許 / 権利維持期間 / 生存関数 / ネットワーク分析 |
Research Abstract |
2011年度と2012年度はSECIモデルの2つの象限(表出化と連結化)に関する分析を行う計画である.2011年度はまず,表出化の象限に関する分析を進めた.特許引用関係のペアデータ(引用先-引用元特許)から,引用先特許(後方特許)の未審査請求状況に着目し,それが未審査である特許を潜在特許(表出化されていない技術に相当),審査済であるものを顕在特許(同じく,表出化された技術に相当)と考え,引用元特許(前方特許)の活用状態にどのような影響を与えるかに関する分析を行った.この成果は,日本知財学会で報告され,岡山大学経済学会雑誌への投稿を行った.しかしながら,分析の結果は,後方特許の審査請求状況は,成果変数である前方特許の活用状態に大きな影響をもたらすものではないというものであった. そこで視点を変えて,特許の権利維持期間に関する分析を行った.すなわち,特許の権利維持期間が長い企業は,表出化の程度が高い企業であると考え,製薬企業各社の権利放棄パターンを調査した.この成果は,日本MOT学会で報告済,さらに2012年度には情報処理学会電子化知的財産・社会基盤研究会(EIP)で報告予定である. 加えて,2012年度に実施予定であった,連結化の象限に関する分析にも取り掛かった.発明者のもつ知識を連結する(結合する)ための強力なメカニズムは人的ネットワークの構築にあるが,ネットワーク・ポジションの効果に関する分析結果は一様ではない.そこで,発明者の同一性を確保できる特許管理データベースのアーカイバルデータを用いて,発明者のネットワークへの参入時点の効果,ならびに個体効果をコントロールした分析(パネルデータ分析)を行った.その成果は,経営情報学会や経営行動科学で報告され,論文誌へ投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表出化の象限に関する分析はまだ完成していないものの,連結化の象限に関する分析をほぼ終えており,おおむね順調,もしくは当初計画よりもやや早めに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
当研究課題が基礎とするフレームワークをより強固にするため,特許が生み出される背景となる組織的状況に関する基礎研究を併行して進めていく予定である
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として国内外での報告,情報収集,国際ジャーナルへの投稿準備に使用する予定である.特許情報には一部手入力が必要と考えられ,謝金の活用を考えているほか,特許の使用状況に関するデータベースの購入についても検討中である.
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Research Products
(4 results)