2013 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルビジネスにおける市民資金活用による資金調達に関する研究
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23530474
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
佐野 修久 釧路公立大学, 地域経済研究センター, 教授 (40550124)
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Keywords | ソーシャルビジネス / 市民資金 / ソーシャルファイナンス |
Research Abstract |
本研究では、ビジネスの手法を用い事業性を確保しつつ社会的課題の解決を図るソーシャルビジネスにおいて、必要資金の円滑な調達が重要な課題の一つとして指摘されている中、社会的意義をもつ公共サービス等に協力したいという意思をもつ市民が志ある資金を主体的に提供する「市民資金」をソーシャルビジネスに適用するためのあり方について考察することを目的としている。 ソーシャルビジネスにおいて、これまで「市民資金」を活用している事業主体は少なく、活用している場合でも、知人、知人等を通じたネットワーク及び最近現れつつある仲介組織等の勧めで活用に至るところが多い状況にある。また、「市民資金」の調達形態についても、寄付、貸付、債券購入、出資(株式取得、ファンド出資)という多様にある形態に関し十分な検討がなされないまま、上記の勧めに応じる形で選択されているケースが大半を占める現状にある。 昨今「クラウドファンディング」が注目されつつあり、これを含む概念となる「市民資金」の活用も今後広がりをみせるものと予想されるが、その活用に当たっては、①社会的意義が高く市民の共感が得られやすい事業、②最終消費者に直接商品・サービスを提供する事業(当該商品・サービスの購入やモニターなど資金提供者が当該事業のファンとして関与しやすい事業)、③社会的リターン(当該事業の社会的効果)の見えやすい事業等であることが必要となる。 また、「市民資金」を活用する場合の調達形態については、当該事業の事業性、調達する資金規模、資金提供者に対して求めるリスク負担と経済的リターン、事業主体への関与度合い、資金調達を行うに当たっての資格や手続き負担(仲介業者活用の是非、仲介業者の有無等を含む)などの視点から十分に検討し選択していくことが求められる。
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