2012 Fiscal Year Research-status Report
企業境界の変化がイノベーションに及ぼす影響に関する分析
Project/Area Number |
23530476
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永田 晃也 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50303342)
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Keywords | イノベーション / 企業境界 / 研究開発 / 専有可能性 / 技術機会 |
Research Abstract |
本研究は、M&Aに伴う企業境界の変化が、当事者企業及び当事者以外の企業のイノベーションにどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的としている。当事者企業のイノベーションに及ぼす影響については、以下の作業仮説を設定した。 ①M&Aを行う企業の事業ドメインが同一ないし近似している場合は、イノベーションから得られる利益の専有可能性が高まることによって研究開発が促進される。 ②M&Aを行う企業の事業ドメインが異なる場合は、技術機会の多様性が増大することによって、研究開発が促進される。 当事者以外の企業にイノベーションに及ぼす影響については、正負いずれの可能性も考えられ、その可能性が顕在化する程度は、当事者企業と他社の競合関係が強くなるほど高くなるとの作業仮説を設定した。 これらの作業仮説を検証するため、前年度は製薬企業を対象とした事例分析を行うとともに、文部科学省科学技術政策研究所が平成22年度に実施した「民間企業の研究活動に関する調査」において取得されたデータを用いた分析を行った。この分析により、M&Aが当事者企業及び当事者以外の企業の研究開発に及ぼす影響について、その短期的な傾向が検出された。しかし、このデータは2006年1月から2008年12月までの3年間に実施されたM&Aを観測したものであるため、2005年以前に実施されたM&Aの影響を特定できず、また調査時点以後に発生した長期的な影響を捕捉できないといった点が問題として残されることになった。 そこで平成24年度は、上記調査の対象企業について、2005年以前のM&Aの実施状況と、2006年~2008年前後の財務状況を把握するためのデータを日経NEEDSのデータベース・サービスより購入し、補完的な分析を行うこととした。この分析計画については、研究・技術計画学会の年次学術大会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は科学技術政策研究所の22年度調査データのみに依拠して分析を進める計画であったが、新たに検討すべき課題が明らかになり、別のデータセットを補完的に活用することとした。この点は当初計画を超える研究の進展であるが、データ間の整合性をとるための作業に時間を要したため、本年度中に行った学会発表は分析計画の報告に止まり、分析結果の発表は25年に以降に期している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き平成24年度に取得したデータに基づく分析を進め、最終年度に当たる平成25年度は、分析結果の総合と、理論的・政策的インプリケーションの導出を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の予算には若干の残額が生じた。これを次年度予算と合わせ、特にデータ分析の高度化、分析結果の発表などに要する経費に充てる。
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