2012 Fiscal Year Research-status Report
組織的公正における組織コミュニケーションの影響過程に関する研究
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23530485
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加納 郁也 兵庫県立大学, 政策科学研究所, 准教授 (40382254)
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Keywords | 組織的公正 / 組織コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究は、明確な職務を前提とし、欧米で展開されてきた組織的公正理論を、日本企業の強みであるすり合わせ型の職務に応用しようとするものである。本研究は次の2つの課題に焦点を当てた分析枠組みの構築を目指している。 第1に、評価だけでなく、職務遂行にともなって必要とされる情報やコミュニケーションの認知が、組織的公正に影響を与えているという点である。従業員が公正・不公正を知覚するのは、何も評価場面だけに限定されるものではない。評価制度の設計および運用のみに着目して組織的公正を高めようとする努力には限界がある。情報やコミュニケーションは、本来日本企業の強みを構築するためのポイントとなるが、従来の組織的公正理論では、分析の射程外となってきたのである。 第2に、職務の分化と統合ともいうべき現象に注目する点である。テレワークの導入にあたっては、職務の切り分けが問題とされ、いかにしてチーム作業を切り分け可能な職務に落とし込むかという問題が議論の中心となってきた。しかし、すりあわせ型の職務遂行に強みをもつ日本企業の分析においては、統合という視点が欠かせない。事実、申請者のこれまでの調査では、テレワークを成功裏に進めている企業の多くで、切り分けられた職務を統合するために何らかの仕掛けを有していることが明らかとなっている。 そこで、今年度は、昨年度に引き続き、本研究を次のようなステップで進めた。 まず、本研究の目的に合致した調査票を作成、配布、回収した。次に、回収した調査票の入力、分析を行った。現在、アウトプットを学会等で発表する準備を整えるとともに、研究業績としてまとめるべく、論文を執筆しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画に従って、おおむね予定どおりに進んでいる。 本研究は、申請者が3年間の計画で単独で行う予定であり、本年度は最終年度となるが、調査票は調査対象先の経営者の協力を得て、ほぼすべてを回収することができた。また、一部ではあるが、従業員へのインタビューを実施する必要が生じた場合にも、同様に経営者の協力を得て予定どおり実施することができた。これによって、分析モデルの修正を含めた各質問項目の修正を行うことができた。目下、研究会などでの発表で貴重なコメントをもらい、分析および考察を進めているところである。 以上のことから、交付申請書に記載した当該研究の目的の達成度については、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今期は本調査(定量的調査)の分析結果をもとにアウトプットをまとめる予定である。 本研究の目的は、まず従来の組織的公正研究において蓄積されてきた評価プロセスにおける従業員の公正感だけでなく、日常の職務を通じた情報やコミュニケーションが従業員の公正感に重要な影響力を持っていることを明らかにし、「公正な評価・処遇」とは評価プロセスに限定されるものではなく、日常の職務遂行プロセスから見直すべきものであることを明らかにすることである。すでに分析はおおむね終えており、より厳密な分析結果の解釈、考察や重要なインプリケーションの抽出を目指している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度実支出額は、3月31日までに支出された額を記載したものであり、3月31日現在で発注・納品までを完了したものについては、次年度4月に支出された。 結果に基づく考察の際に、追跡調査を行ったり組織行動、人的資源管理の領域の研究者からアドバイスを受けたりする必要があり、今年度の研究費の支出の多くは旅費として利用する予定である。
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