2011 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な日本型人材マネジメントのあり方についての実証的研究
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23530489
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
宮本 大 流通経済大学, 経済学部, 准教授 (30434682)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 人材マネジメント / 成果主義 / 能力開発 / 人材育成 / 持続可能性 |
Research Abstract |
本研究は、1990 年代以降、能力主義的人事システムから成果主義へ、そして近年の成果主義の見直しなど不安定に揺れ動いてきた日本企業の人材マネジメントに注目し、Sustainable Human Resource Management の分析枠組みを利用し、各ステークホルダー、特に従業員と企業(株主)にとっての有益性という視点から、2000 年以降の成果主義化を能力開発との関係から捉え直し、その関係性がもたらす結果を明らかにすること、そして複数の大規模数量データによる分析を通じて一般性の高い帰結を導きだし、これからの日本企業における持続可能な人材マネジメントのあり方を提示することを目的とする。 初年度は、主として、次年度におけるより詳細な分析を実施するためのマイクロデータの整備を行い、また先行研究調査とともにマクロ統計データを利用して、近年の日本企業における成果主義と能力開発の実態および関連を明らかにする研究を行った。マクロ研究による成果は以下の通りである。まず日本企業における従業員の能力開発に対する根本的な考えは、2000年代前半まで「能力開発は従業員個人の責任である」という方向に振れていたが、2000年代後半に入り、かつての考え方の主流であった企業責任であるという方向へ揺り戻しが生じている。しかし、その揺り戻しは全体的に元の企業責任という考えへ振り戻したのではなく、企業責任であるという考え方を明確にした企業が増大する一方で個人の責任であると明確にする企業も増加するという二極化を伴うものであった。また日本企業における成果主義と能力開発は必ずしも補完的に運用されてきたとはいえず、成果主義の目的のひとつである従業員のインセンティブシステムの構築はうまく進んでこなかったことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度では(i)研究環境の整備、(ii)分析データの整備、(iii)能力開発および成果主義の事例研究をレビュー、そして(iv)マクロレベルの統計調査と併せて2000 年以降の日本企業における能力開発と成果主義の実態・関係性についての研究、の4点を実施する予定であり、いずれもある程度順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24 年度は、企業レベル・個人レベルにおける能力開発と成果主義を包括的にとらえる人材マネジメントシステムの実態、さらにはどのようなマネジメントシステムが従業員および企業(株主)双方に資するシステムなのかを検証するために、平成23年度に整備したマイクロデータを利用して分析を行うことが中心的な作業となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は466円であり、平成24年度の研究費は従来の申請した通りの研究費目に沿って使用する予定である。
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