2013 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な日本型人材マネジメントのあり方についての実証的研究
Project/Area Number |
23530489
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
宮本 大 流通経済大学, 経済学部, 准教授 (30434682)
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Keywords | 人材育成 / 能力開発 / 人的ネットワーク |
Research Abstract |
本研究は、従業員と企業にとっての有益性という視点から2000 年以降の成果主義化と能力開発との関係性を明らかにすることを通じてこれからの日本企業において持続可能な人材マネジメントのあり方を提示することを目的とする。 過去2年の研究において、成果主義化では従業員の能力開発施策の補完的な運用が従業員のモチベーションや企業成果に重要であるとの先行研究の知見をもとに近年の日本企業における成果主義と能力開発を検討したところ、コスト抑制などの理由から必ずしも補完的に能力開発が行われてきたとはいえず、従業員のインセンティブシステムはうまく構築されてこなかったことが示された。 そこで最終年度は、コスト抑制を考慮した能力開発の方策、特に人的ネットワークの利用による人材育成の可能性に絞って研究を進めたところ、国内にいる社内外の従業員とのネットワークは客観的な成果・業績のみならず自己効力感をも高める効果が確認できた。またこうしたネットワークの構築は、様々な職務を経験し、様々なスタッフと出会い、交流することがなにより重要である。また職責の付与はチームを取りまとめる役割において様々な相手との調整が求められ、それが幅広いネットワーク構築につながっている。また企業の能力開発への取り組みも個人のネットワークの構築に影響を及ぼしており、企業が教育訓練に積極的であるとの認識は社内のネットワークを広げ、消極的だと社外へのネットワークを広げる方向へと向かわせ、ネットワークの中身に応じて能力開発とは補完的にも代替的にも関与することが示された。 より良いパフォーマンスを発揮する従業員の育成には人的ネットワーク構築を促す取り組みが企業にとっても有益であり、能力開発の方法の一つとなると結論づけることができる。
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