2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530503
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 由紀子 日本大学, 商学部, 准教授 (40407763)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 企業倫理 |
Research Abstract |
平成23年度において、本研究課題の予備的研究となった「日本における企業倫理研究の基礎的考察-企業倫理、コンプライアンス、CSRの概念検討を通じて-」(『商学集志』第80巻第3号,2010年12月)をもとに、経営学の学問領域において企業倫理がどのように位置づけられるかを研究した。 主に、アメリカなどで従来から言われている企業倫理を応用倫理学研究の一領域と捉える立場ではなく、経営学の観点から考察することを主張する田中照純の研究に注目し考察を行った。田中は経営学の中でも特に経営経済学の枠組みで企業倫理を捉えていくことを強調するが、その特徴と課題を考察した。しかしながら、田中の研究および他の文献からは、現時点では経営経済学の中で企業倫理を位置付けていくことの必然性が明確には把握できなかった。改めて、経営経済学の特徴と企業倫理の関係性を探る課題が生じた。 上記の状況を踏まえ、その成果の一部を日本比較経営学会第36回全国大会で「企業倫理研究の基礎的考察‐概念の検討を中心に‐」というテーマで報告した。主な論点は、(1) 企業における倫理の担い手はだれなのか、(2)企業倫理の定義、(3)企業倫理学の学問的位置づけであった。質疑応答などを通じて、今後の研究の足掛かりとなる報告となった。 今年度は、当初の計画では、企業倫理が実証科学である経営学と規範科学である応用倫理学の学際領域である学問的性格を踏まえ、規範科学と実証科学のそれぞれの役割と特質を明らかにし、その違いと接点を探り、学問それ自体の意味を考える基礎的な文献研究を積み重ねていく予定であった。しかしながら、この領域の文献収集が思いのほか進めることできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は、経営学の一領域として企業倫理を位置づける研究の手掛かりを掴むことはできたが、経営経済学から企業倫理を考察するという新たな課題も見えてきた。 また、当初の計画では、企業倫理が実証科学である経営学と規範科学である応用倫理学の学際領域である学問的性格を踏まえ、規範科学と実証科学のそれぞれの役割と特質を明らかにし、その違いと接点を探り、学問それ自体の意味を考える基礎的な文献研究を積み重ねていく予定であった。しかしながら、この領域の文献収集が思いのほか進めることできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、平成23年度に達成できなかった、規範科学と実証科学のそれぞれの役割と特質を明らかにし、その違いと接点を探る。そのために、学問それ自体の意味を考える基礎的な文献研究を試みる予定である。 第二に、新たな課題として見えた経営経済学から企業倫理を把握するというアプローチを検証するために経営経済学も考察に加えていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第一に、学問それ自体の意味を考える基礎的な文献研究を行うための文献収集に努めたい。また、その他関連の専門書および消耗品を購入する予定である。 第二に、平成23年度は、震災の影響などもあり、夏季に参加を予定していたアメリカ企業倫理学会および経営学会の出席ができなかっため、旅費が発生しなかった。次年度は参加していく予定であるので、それに伴い旅費が発生する。
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Research Products
(1 results)