2012 Fiscal Year Research-status Report
持続的製品イノベーションを創出する組織内・組織間ネットワークの最適性に関する研究
Project/Area Number |
23530505
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
牛丸 元 明治大学, 経営学部, 教授 (50232822)
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Keywords | 社会ネットワーク分析 / イノベーション |
Research Abstract |
本研究は、企業の持続的な製品イノベーションを実現するための組織内ネットワークと組間ネットワークの構造と最適組合せを解明することを目的としている。そのために(1)ネットワーク分析による定量分析と(2)ヒアリング調査による定性分析ならびに(3)それらを融合させた分析の3つを研究実施計画の柱としている。 平成24年度は,(3)の定量分析と定性分析を融合させた分析方法の有効性を確認することを主たる目的としたパイロット的実証分析を行った。 第1は、コールマン型のネットワークとステイタス型のネットワークにおいてみられる、ディスコースの違いの実証研究である。前者にスターアライアンス、後者にポイント探索ネットワークを抽出し、ホームページにみられるディスコースの違いを比較分析した。その結果、コールマン型ではディスコースにおいて協調的表現がみられたのに対し、ステイタス型では他者との差別化を図るようなディスコースがみられた。 第2は、東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所事故における会議の模様を対象として、ネットワーク分析とディスコース分析を用いたものである。本研究は、イノベーションとは直接関係はないものの、定量分析(ネットワーク分析)と定性分析(ディスコース分析)の融合を試みる上で非常に重要なものである。これは、東電会議室の会話をスプリクト化し、会話のシーンごとに、会話者の関係をネットワーク化し、隣接行列を作成しネットワーク分析を試みたものである。 第3は、単著『スタンダード企業論』同文舘出版(2013年3月30日発行)を執筆し、第6講・7講・11講~15講においてネットワーク分析とイノベーションに関する研究成果を反映させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は,主として企業内の製品開発ネットワークに関する(1)ヒアリング調査と(2)配票調査,(3)国際学会・学術会議での発表を行う計画であった。 しかしながら、2012年1月に、申請者が交通事故により重傷を負い、当該年度をまたがり約半年間リハビリテーションをしていたために、研究を進展させることができなかった。とくに、(1)ヒアリング調査に関しては、移動に困難がともなったために、十分な調査ができなかった。同様に、(2)配票調査に関しても、調査票準備のためのパイロット調査を十分に実施することができなかった。(3)国際学会・学術会議での発表は、主に前年度の研究成果の発表であり、当初の計画どおり遂行した。 以上により、総合的にみてやや遅れた達成度となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、2012年度において十分に実施できなかった項目に関して研究を行った上で、新たな研究を実施する。主に次の3点に集約される。 (1)研究課題である企業内の製品開発ネットワーク構造の解明のために、年度中期までに、製品開発担当者およびマーケティング担当者にヒアリングを実施する。帝人、富士重工、セイコーインスツル、リンテック、信越化学工業、シチズンを考えている。これにより、企業全般の内部組織における製品開発とマーケティング部門とのリンキングについて把握する。 (2)研究課題である企業内の製品開発ネットワーク構造の解明のために、上記フィールド調査において対象となった企業のマーケティングセクションおよび製品開発セクションに従事するメンバーに対し、配票調査を行う。内容は、セクション内およびセクション間のコネクションの程度(質・頻度)に関するものである。これにより、企業内のネットワーク構造を把握する。そして,配表調査において実施された企業内ネットワーク調査のデータを分析する。 (3)国際学会・学術会議での発表については,7月にポーランドワルシャワで開催されるSCOS、ならびに、10月に台湾・台南科技大学での国際学術会議において研究発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は,次の3点を計画している。 (1)国内ヒアリング調査費用の発生(交通宿泊費・謝礼金):企業間ネットワーク全体の特性の解明のために、企業へのヒアリングを実施する。また,企業訪問することから,付帯的に謝礼金(土産代)も発生する。 (2)配票型調査費用(印刷製本費・郵送費)の発生:研究課題の企業間ネットワーク全体の特性の解明のために、年度後期よりフィールド調査の結果に基づき、企業のゲートキーパーが外部組織とどのようなネットワークを構築しているのか、配票調査を実施する。 (3)学会発表関連費(交通宿泊費・日当):研究成果を国内外の学会において発表する。2回ほど計画している。
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