2012 Fiscal Year Research-status Report
クリエイティブ産業における能力形成ダイナミクスの実証的研究
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23530511
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Research Institution | National Institute of Science and Technology Policy |
Principal Investigator |
七丈 直弘 文部科学省科学技術政策研究所, 科学技術動向研究センター, 上席研究官 (30323489)
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Keywords | クリエイティブ産業 / 人材育成 / ソーシャルキャピタル / サイエンス産業 / 多様性 |
Research Abstract |
クリエイティブ産業における「新技術受容」の状況を調査するために、アニメーター(並びにアニメーションの専門学校学生)およびアニメーション制作企業スタッフに対してアンケート調査を実施した。これを行うため、都内のアニメーション制作企業4社を訪問し、プレインタビューを行ったうえで、質問票を試作した。プロジェクトメンバーでワーディングの調整を行うと同時に、数名の経営学者を交えて検討を行った。アニメーターに関しては204名に配布し、回収率は約75%(153)であり、回答者の平均年齢は29.4歳、男女比は男性が47.3%、女性52.7%であった。アニメーション制作企業スタッフ(制作進行)に関しては128名に配布し、回収率は約78%(100)であり、男性が77.6%、女性が22.4%であった。分析の結果、アニメーターおよびアニメーション制作企業スタッフの属性と新技術受容の関係について明らかにすることができた。また、アニメーターに関してはスタジオへの入社初期における人材育成プロセスについてヒアリングおよび実地調査を行い、スキル向上のプロセスを分析していく上でのインサイトを得た。これらの情報を基に、次年度にクリエイティブスキルの定量調査を実施する上での手法構築を行った。また、作品データベースの利用による制作者ネットワークの構築に関しても、データのクリーニングを行うことでより精度の高い分析を行う上での土台が完成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたアンケート調査については実施され、初期的な分析まで完了している。また、データベースを利用した共同制作関係ネットワークの構築については、データに含まれるエラーの割合が分析の精度に決定的な影響を与えるため、分析に先立ち精度向上を優先した。得られたネットワークを用いた分析に関しては、初期的な段階は終了しており、今後本格的な分析を行うための準備が整っており進捗に支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、前年度で得られたアンケート調査をより詳細に分析することで、新技術の導入をコンテンツ制作の現場に円滑に導入するための方法論について考察を行う。また、データベースから得られたを知見を利用し、共同制作関係によって構成される社会ネットワークの構造的特徴と人材開発の関連性について分析を行う。 データベースの入手可能性という観点から映画を対象とした分析を行う。なお、アニメの制作共同関係に関するデータベースについては日本動画協会が現在作成中であり、公開され次第活用を試みる。 まず、データベースから制作者(クリエーター)を分析の単位として、作品制作単位での共同制作関係を抽出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はアンケート調査の手法を見直し効率的に実施することが可能となったため、当初計画よりも必要経費を圧縮できた。その分を用いて各種調査データの整理を行う。平成25年度は、アンケート調査およびネットワーク分析を行うための統計ソフトウェアおよび分析用パソコンを調達する。また、データベースのクリーニングを行うために外注費を用いる。さらに、研究成果を学会で発表するための旅費、その他経費から学会参加費を用いる。
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Research Products
(3 results)