2011 Fiscal Year Research-status Report
海外生産比率を高める我が国中小企業の現地における特許戦略の問題点とその解決策
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23530516
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 時政 愛知工業大学, 経営学部, 准教授 (20329626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 昌寛 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (60242905)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 特許活用 / 中小企業 / 特許出願 / 特許明細書 / 海外企業特許 / 勝ち獲得 |
Research Abstract |
前回までの研究結果で活用できる特許出願書類の最低必要ページ数は12.8ページであるという結果を導いた。この特許出願書類のページ数と年間出願件数の2つのパラメータを用い,企業が有効に活用できる特許を取得するための特許出願の方策を4つの領域に分類した。これらのうち,特許出願書類のページ数,出願頻度ともに少ない領域に属する企業の多くは,意味を為さない,あまり活用できない特許出願をしていることが予想される。これらの企業は言わば,「知的財産における中小企業(知的財産中小企業)」であり,特許マインドなど知的財産に対する意識が乏しい,もしくは資金的な制限から,特許出願の方策が十分に立てられていない企業であると定義できる。知的財産中小企業が自社の価値獲得増大のために特許出願の方策を改善するためには,年間出願件数を増やすことは経済的理由から現実的ではないので,ページ数を増やすことが得策の一つであると考えられる。 今年度上述の4つの領域ごとに,2004年から2010年までの出願者数の増減を調査したところ,ページ数が多い2つの領域の出願者数が年々増加し,逆にページ数が少ない2つの領域は減っていることがわかった。このことは一見,知的財産中小企業の特許出願書類が改善され,ページ数が12.8ページを超える,良質な書類が増加しているように見えた。しかしながら,この原因はページ数が多い外国企業の日本国内での出願が増えたことによるものであった。すなわち,我が国中小企業の特許出願に対するモチベーションは下がり続け,イノベーション活性化に繋がらず,一方で外国企業特許が国内で台頭し始めていることがわかった。 また,計画書(本申請の研究機関は3年であり,今年度は初年度にあたる)では,前述した4領域ごとの特許活用状況のアンケート調査を平成24年度に実施する予定であったが,前倒しし,今年度実施した。現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画書では,前述した4領域ごとの特許活用状況のアンケート調査は平成24年度に実施予定であったが,前倒しし,今年度実施したためである。 各領域の特許活用の状況を調査するため,調査題目を「活用できる特許取得のための明細書作成方法に関する意識・実態調査」としたアンケート調査を行った。アンケートに先立ち,2010年のDVD公開特許公報に収録されている企業(発明者が株式会社,有限会社および個人のもの)を,年間出願件数と出願書類の平均ページ数からどの領域に含まれるか解析した。そして4領域の合計3,208の宛先についてアンケート調査票を送付した。アンケートは2012年1月7日に送付し,同月27日を回答期限とした。調査票では,研究開発と自社技術の特許化,特許出願状況,特許出願書類の作成方法,特許活用状況,特許庁による特許出願の支援制度の利用状況および代理人による特許出願の有効性について質問した。現在までにおおよそ2割の回答が得られ,現在解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 実績の概要に述べたように,日本国内では海外企業の特許出願が多くなってきているため,主にその部分を深掘りしていきたいと思っている。2004年から2011年までの特許出願の様子を本研究室のベータベースから解析する。例)どの国の企業の特許出願が多くなってきているのか。(2) 特許出願データベースへの2011および2012年分データの追加(3) アンケート調査の解析(4) 海外,国内での成果報告
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1) 発明協会発行DVD-ROM 特許公開公報平成24年(2012年)分を購入し,特許出願データベースにデータを追加する。(2) 23年度に行ったアンケート調査の解析およびデータベースを利用した日本国内における海外特許出願の状況を解析するため,高性能のパソコンを一台購入する。なお,これらの解析では逐次専門知識の提供が必要となる。(3) 国際学会研究報告旅費(4) 国内学会研究報告旅費(5) アルバイト料
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