2013 Fiscal Year Annual Research Report
海外生産比率を高める我が国中小企業の現地における特許戦略の問題点とその解決策
Project/Area Number |
23530516
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 時政 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (20329626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 昌寛 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (60242905)
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Keywords | 知財戦略 / 知財マネジメント / 特許出願 / 中小企業 / 知財部門 / 研究開発 |
Research Abstract |
我が国中小企業の知財マネジメントの状況について,「特許出願における資本的および人的資源の状況」および「特許支援制度利用における問題点」という2つの視点からまとめた。 特許出願における資本的および人的資源の状況という視点からは次の様な結論を得た。我が国において特許出願している企業でも知財管理や特許出願を専門に行う部署や人員を有している割合はそれほど高くなく,知財戦略性に乏しい。また,中小企業はより惨憺たる状況で,特許先行技術調査さえ十分に実施されないままに特許出願され,その上に特許出願書類は拒絶査定通知を受けることを前提にして作成されていない品質の悪いものであった。 また,特許支援制度利用における問題点という視点からは次の様な結論を得た。特許出願専門の部署や人員を有することができる企業では,部署や人員が特許出願に係る業務ばかりではなく,自社製品関連市場において,新製品や製品機能と関連付けながら今後どのような技術が必須特許と成り得るのかといったことも把握することが必要である。それにはマーケティング部門との連携,もしくは知財部門の人員がマーケティングに関する知識を併せ持つ必要がある。また,研究・開発部門は,その情報を今後どのような知識的技術を創造していくのかを決定するための基盤にしなければならない。すなわち,知財戦略によって価値獲得するためには,研究・開発,特許出願,特許利用は整合性をもってマネジメントされなければならない。しかしながら,専門の部署や人員を持つことが難しい中小企業では,経営者がこれを実行できる能力を有することが必要となる。知財マネジメントができない中小企業の経営者を弁理士や中小企業診断士などの外部コンサルタントが知財活用や技術指導の面で支援する仕組みとこのような特許支援を組み合わせれば,中小企業の知財マネジメント力向上に大きく貢献できる。
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