2013 Fiscal Year Annual Research Report
サプライチェーンにおけるパフォーマンスのトレード・オフ克服のメカニズム
Project/Area Number |
23530517
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中野 幹久 京都産業大学, 経営学部, 教授 (70351690)
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Keywords | サプライチェーン・マネジメント / パフォーマンスのトレード・オフ / トレード・オフの克服 / 機能横断的なプロセス改善能力 |
Research Abstract |
平成25年度は、当年度初めに提出した「研究実施状況報告書」で説明した通り、平成24年度に構築したモデル(サプライチェーン・マネジメントに関する各種のアクション・プログラムが基盤能力、競争力、財務のパフォーマンスに結びつく静態的な因果関係を示すモデル)について、平成25年5月に企業へのアンケート調査を実施した。対象は、日本の製造業者2千社であり、105社から回答を得た。有効回答数は94社であった。 これらのデータを使って、統計分析(検証的因子分析、共分散構造分析など)を行うとともに、分析結果の理解を深めるために、アンケート回答企業の内、9社へのフォローアップのインタビュー調査を行った。結果、オペレーションの競争力が高い企業は、「機能横断的なプロセス改善能力」と呼ぶ組織能力を備えていることを明らかにした。この結論に至る過程で、モデルの外的妥当性の確保や結論の理論的・実務的示唆を議論するために、さまざまな業界の企業5社へのインタビュー調査、SCM先進企業である花王のマネジャー1名、SCM研究者1名との議論を行った。 加えて、SCM先進企業であるリコーがグローバルに在庫を可視化するシステムを構築して、効率性と応答性のパフォーマンスを向上させている事例を調査した。同社SCM部門のマネジャーへの計4回のインタビューにもとづいて、パフォーマンス測定システムをいかにして構築・運用すればよいのかを明らかにした。 なお、平成25年6月にアイルランド・ダブリンで開催された20th EurOMA Conferenceに参加し、学会発表と情報収集を行った。11月には、東京大学ものづくり経営研究センターにて開催された第106回ものづくり経営研究コンソーシアム定例会議分科会において、上記のアンケート調査およびフォローアップ・インタビュー調査にもとづいた研究成果を報告した。
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