2012 Fiscal Year Research-status Report
地域医療の質的向上を意図した医薬品流通システムの構築
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23530533
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
保田 宗良 弘前大学, 人文学部, 教授 (20230229)
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Keywords | 地域医療 / 医薬品流通 / 登録販売者 |
Research Abstract |
本年度は、医薬品卸の医療機関に対する経営支援と、登録販売者の活用について論点をしぼり、考察を進めた。医薬品卸の経営支援は、元医薬品卸に勤務し、現在は医療機関の副理事長の聞き取り調査及び、ジェネリック医薬品卸の専門卸の代表取締役の聞き取り調査から文献では把握できない現場の法則性を明確にした。地域医療の質的向上は、医療機関の組織論、マーケティング戦略による研究は進みつつあるが、医薬品流通に関しての考察は遅れているのが実情であり、先行研究は乏しいのが実態である。医薬品卸は一方的な貢献が求められておりウインーウインの関係にはなっていない。無料で貢献することが通例となりやがては破綻する危惧がある。本来の医薬品情報、医薬品の物流を中心に原点に立ち返り、新たな関係の構築が望まれている。 最高裁の判決で、通販業者2社の一般用医薬品の販売が可能となった。このことは登録販売者の位置付けの変化を意味する。対面販売により的確な服薬指導をすることが任務の中核であったが、通販で販売が可能になると、この資格そのものの意義が問われることになる。本年度は、チェーン組織のドラッグストアの聞き取り調査と個人経営の薬店、登録販売者団体の各県の代表にアンケートを実施し、薬剤師を有しないドラッグストア等が地域医療にどのように貢献すべきかを問いかけた。地域医療の質的向上は、登録販売者の健康指導が求められるが、彼らが全体の枠組みに加わっておらず、また通販の指導に危惧を有していることが明確になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、医療モールの実態調査を予定していたが、通販に関する裁判の動向をふまえ、薬店、薬剤師を有しないドラッグストア等の実態調査に重きを置き、一定の成果をあげたと考える。アンケートの回収率は20%前後であるが、自由記述から現場の実態が的確に読み取れ、多くの知見が得られた。学会報告、地域の研究会での報告により軌道修正を施し、健康マーケティングの視点からの考察を加味した次年度の検討課題を明確にしたので、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、最終年度になるので仮説の検証に重きを置く。地域医療の質的向上を、医薬品流通の視点で総合的に検証し、医薬品卸、調剤薬局のCSRについても言及する。配置販売薬、ドラッグストア、調剤薬局のトラブルについても調査・研究を進め、先行研究で不十分な論点を明確にする。6年制を卒業した薬剤師の評価、登録販売者の資質の向上のための方策に言及し、日本で1番短命県である青森県の健康マーケティングを進めるための医薬品流通システムの構築を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
備品 100,000円 旅費 200,000円
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