2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530541
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
濱岡 豊 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (60286622)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 研究開発 / 製品開発 / ユーザー・イノベーション / オープン・イノベーション / アンケート調査 |
Research Abstract |
調査票、調査方法については昨年までと同様、郵送法とし、調査対象者はダイヤモンド社のデータベースを用いて抽出した。研究開発調査では451社に調査票を送付し、136社の回答を得た(回答率30.2%)。製品開発調査では、555社に送付し、121社の回答を得た(同21.8%)。5年間のトレンド変化について分析したところ、以下の点が明らかとなった。 研究開発調査については、「多くの可能性を試さなければ最終解に至ることが難しい」「研究開発には多大な費用が必要である」「研究から実用化までには長い時間がかかる」など研究開発が困難になる一方で、「社内使用研究開発費」「外部支出研究開発費」「研究開発要員の数」「自社でコアとなる技術を開発している」が低下傾向にある。さらに外部の知識や技術を活用しようという、オープン・イノベーションに関しても、そのために必要な技術吸収能力だけでなく、外部技術を取り入れた成果、外部への技術提供の成果ともに低下傾向にある。このように、極めて厳しい状況にあることがわかった。 製品開発調査からは、「特許の取得や、それによる保護が重要な製品である」「技術情報をユーザーが利用できるようになることは極めて難しい。」が低下していることから、特許など技術的優位性の持続期間が低下している。一方で、「研究開発とマーケティングの両方に通じている者が多い。」「リーダーは開発から発売に至るまで責任と権限を持っている。」という日本の製品開発の強みであるといわれてきた重量級プロジェクトマネジャーの存在割合も低下傾向にある。これを反映してか、「品質、顧客満足、新製品の開発スピードなど自社の技術的な強み」も低下している。 このように研究開発、製品開発ともに問題があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は平成19-22年に行った継続調査をさらに継続するものである。これまでと同様、二つの調査を行い、同程度の回収率が達成できた。このことから、計画通りの進捗状況といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度もこれまで同様に調査を継続する。分析については、サンプル数が少ないため記述的、探索的な分析にとどめていた。5年間継続してきたことによって、複数年回答も含めて、研究開発、製品開発調査ともに600サンプルを超えたので、構造方程式モデルの適用による分析を行う。 さらに、2010,2011年についてはラディカル・イノベーションについての調査項目を追加したので、これについての分析も行う。 なお、昨年度の残金については、海外の学会報告兼事例研究にあてる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
二つのアンケート調査を実施するために、これまで同様、名簿の入手、印刷、郵送、入力費用を見込んでいる。 さらに、本年度は、これまでの成果について、6月にはオープン・イノベーションをトピックの一つとして行われるISPIM国際会議、8月にはユーザー・イノベーションをテーマとするUIOI国際ワークショップで報告する予定である。このための出張費も見込んでいる。
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