2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530541
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
濱岡 豊 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (60286622)
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Keywords | ユーザー・イノベーション / オープン・イノベーション / 製品開発 / 研究開発 / 継続調査 / アンケート / 時系列調査 / ツイッター |
Research Abstract |
これまでに引き続いて上場日本企業(製造業)を対象に「研究開発についての調査」「製品開発についての調査」を行った。「研究開発についての調査」では448社に発送し、109社から回答を得た(回答率24.3%)。「製品開発についての調査」では722社に発送し、149社から回答を得た(同20.8%)。それぞれについて、2007年からの6年間での線形トレンドが有意か否かを検定した。 研究開発について、トレンド変数が有意となったのは28項目であった。変化した項目からは,「研究開発の困難化」「オープン化の限界」「経済的報酬から地位やプロジェクト内容で報いるという研究開発におけるマネジメントの変化」「海外でのR&Dの自律化」「品質は高まる一方で開発スピードの低下」が生じていることがわかった。一方、社会的な地位、評価については高く評価する傾向があることもわかった。 製品開発について、トレンド変数が有意となったのは,36項目であった。変化した項目からは,「自社の技術的な強みの低下」「社内での情報共有,一貫性の後退」「ユーザーとの関係の弱まり」「開発プロセスでの情報収集活動の低下」などの問題が重要化していることがわかった。 これら二つの結果を比較することによって、「研究開発」担当者は製品の機能や顧客満足度が高まっていると評価する一方、製品開発担当者はその逆であることも見いだされた。 本年度はあわせてソーシャルメディア(ツイッター)のアーカイブを利用し、東日本大震災時に発生した流言について分析した。この結果、フォロアー数が多いオピニオン・リーダーに情報の「拡散」を依頼する者が存在すること、官公庁からのツイートが誤情報ツイートの減少に大きく寄与したことも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケートの実査に関しては、例年どおりの回収率を確保できた。分析に関しても、これまでの手法で問題なく分析できている。この結果、概要に述べたような知見を得ることができた。 成果の報告についても、4つの論文、国外4回、国内3回の学会報告を行った(予定も含む)。これらを踏まえて概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に同じ調査を継続する。ただし、エネルギー、ソーシャルメディアなど、特に注目すべきトピックがある場合には、調査項目を追加する。 分析に関しては6年分のデータが集積され、合計のサンプル数ものべ800サンプルに達した。構造方程式モデルによって、オープン・イノベーションやユーザーイノベーションの規定要因についての分析も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究開発についての調査、製品開発についての調査を実施するための印刷、封入、発送費用、人件費および名簿の利用を予定している。あわせて、国外報告のための出張費に使用する予定である。
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