2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530542
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
里村 卓也 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (40324743)
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Keywords | ブランド選択 / ブランド識別 / ブランド間類似性 / 画像処理 / 消費者選択行動 / 拡散モデル / コンジョイント分析 |
Research Abstract |
まず、合理的消費者を仮定した選択モデルの構築と実証分析を行った。2012年度までの研究では、予算制約や定和配分など需要が制限されるもとで複数個数・複数代替案の選択を行い直接効用を最大化する消費者の意思決定を分析するためのモデルを構築し、実証分析を行った。2013年度は新しく医療行為の選択に関する分配型データを用いてモデルの有効性についての検証を行った。さらに実証研究から得られる分配型データ特有の問題について整理し、提案手法の有用性と限界についてまとめた。 つぎに、認知心理学をもとにした消費者判断モデルの構築と実証分析を行った。2012年度までの研究では、類似した製品パッケージにおける消費者のブランドの識別を評価するための数理モデルを構築した。このモデル化において、消費者によるブランド識別を表現するために認知心理学のモデルのひとつである拡散モデルを利用した。その際、識別を行うメカニズムの説明変数としてパッケージの画像情報を定量的に評価したブランド間の類似度を利用した。実証分析ではコンピュータを用いて画像の提示と応答の測定を行い、このデータを提案モデルを用いて分析した。2013年度はこの手法の有用性を確認するために、画像情報の計算方法を変更した場合の頑健性の検討や、他の分析手法との比較を行った。これらの結果をまとめて海外学術誌に投稿し受理・掲載された。続いて、認知心理学をもとにブランド識別に加えてブランド選択も考慮する消費者選択モデルの構築について取り組んだ。海外の研究協力者とも議論を行い、モデル化の方法について議論を行った。モデル化における問題の整理と、実証分析を行う上で必要な実験方法についてまとめた。 研究期間を通じて、消費者の内部構造に焦点をあてた理論的モデルを構築し、そのメカニズムを明らかにするとともに、マーケティング実務での有用性について確認することができた。
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