2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530545
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
新倉 貴士 法政大学, 経営学部, 教授 (20278774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 広行 流通科学大学, 商学部, 講師 (00580325)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 業態 / 消費者情報処理 / カテゴリー構造 |
Research Abstract |
小売企業の経営努力により出現する様々な業態は、消費者が小売店舗を認識する認知的枠組みであると捉え、本研究では、消費者視点から捉える業態の認識メカニズムを解明することを目的としている。これらが明らかになることにより、小売企業や商業者の市場戦略の構築に大きなインプリケーションをもたらすことになる。 23年度は、積極的な文献サーベイと先端小売企業へのヒアリングを重ね、また学会報告により広く意見の収集に努め、24年度に実施する実証的調査への概念的フレームワークづくりを行った。これらの活動により、大きく以下の2つのフレームワークが導き出された。1つは、「業態の新しい芽」となる要因を整理するフレームワークである。このフレームワークから導出される命題は2つあり、「徹底した品揃えと顧客対応により、従来の店舗の限界を超えることで価値の前提を変える」と「経験価値により価値の次元を高める」というものである。もう一つのフレームワークは、消費者の業態認識に関する認知的な情報処理メカニズムに関するモデルである。このモデルは、既存知識に基づくトップダウン型処理と外部データに依存するボトムアップ型処理のバランスにより規定されることを前提にしたものである。また、消費者の業態認識におけるカテゴリーの構造を仮定しており、「百貨店らしさ」や「コンビニっぽさ」といった典型事例を中心とした典型性構造から業態の認識を捉えるものである。トップダウン型処理の場合、抽象的店舗像であるプロトタイプ主導で、逆にボトムアップ型処理の場合、具体的店舗像であるエグゼンプラー主導で処理が行われると仮定する。そして、その中間に新たな構成概念としてエグゼタイプを想定し、このエグゼタイプをめぐる運動として、業態の動態性が説明できる。これらのフレームを基にして、次年度は、実証的調査のフレームづくりを進めて実査を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した計画通りに広範な文献収集を行い、これらのレビューを通じて、概念的フレームワークの骨子を作成する作業ができた。またこれと併せて、インタビュー調査も順調に進み、現場の生の声から洞察される業態の芽となる要因が明らかにされた。さらに、日本消費者行動研究学会での報告から、専門分野の研究者からの意見も広く収集できた。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の研究において導き出された概念枠組みに基づいて、24年度は実証的調査を計画している。ここではまず、プリテストを2回予定しており、1回目は業態尺度設計のための調査として、2回目は業態尺度の構築として位置づけている。これらのプリテストの結果を基にして、本調査へ進む予定である。 本調査では、業態の構成要素の把握と新業態の可能性を検討することである。具体的には、定量アンケート調査を行う予定である。ここでは対象を大きく2つに分けて、全国を対象とした全国調査と地域を限定したエリア調査を実施する予定である。 これらの調査により大量のデータを収集したうえで、データの分析に入る予定である。ここでは、業態構成要因間の関連性および業態間の関連性に関する視点を持ちながら、分析を進めていく予定である。 また随時、学会や研究会にて報告を行うことにより、関係分野の研究者からのアドバイスを受け、適切な方向を探りながら研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度への繰越が生じた理由は、次年度に予定している実証的調査について、予定よりも規模と精度を高める必要性があるために、初年度の費用を少し控えめに抑えたからである。また物品費については、初年度に購入予定であった統計分析ソフトについて、発売元が価格プロモーションに入っており、次年度に購入した方がリーズナブルな価格で入手できると判断したためである。さらに旅費に関しては、大学からの学会出張旅費で賄える分が多くあったためである。 次年度では、これらにより調整された分を、実証的調査の実査費用とデータ分析ソフトの費用などに調整配分して、効率的な研究費の使用を計画している。
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Research Products
(2 results)