2013 Fiscal Year Annual Research Report
大手航空会社の子会社LCCにおける経営戦略と市場競争への影響について
Project/Area Number |
23530554
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水谷 淳 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (60388387)
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Keywords | 子会社LCC / ネットワーク戦略 |
Research Abstract |
本研究では,航空会社における重要な経営戦略の一つであるネットワーク戦略を中心に,いくつかの分析を進めた. まず,わが国の大手航空会社を対象にした費用構造分析によって,国内線サービスと国際線サービス間の範囲の経済性を計測した.そして短距離国内線しか持たない航空会社が長距離国際線に参入した場合,国際線シェア(座キロベース)が20%を超えたあたりから範囲の経済性が生ずることを見出した.この結果は新たに長距離路線への参入を試みているいくつかのLCCにとっても参考になると考えられる. つぎに,オーストラリアのLCCであるジェットスターの国内線ネットワーク戦略について,就航路線,各路線の供給量(便数・座席数),競合路線におけるスケジューリングといった視点から分析を行った.同社は,カンタス航空の100%出資子会社で,2000年にオーストラリアの国内線に参入したLCCのヴァージン・オーストラリアに対抗するために2003年に設立され,2004年に運航を開始した.分析の結果,ジェットスターのネットワーク戦略は,基本的にヴァージンに対抗するもので,競合路線数や供給量に現れるカンタスとジェットスターの競合関係の多くは,カンタスグループのライバルであるヴァージンとの競合関係強化の結果として,副次的に生じたものである可能性が高いことが示された.欧米の大手航空会社による子会社LCCは,その多くが短期間で運航停止に追いやられている中,ジェットスターは2011,12年度と近年では2年連続で親会社カンタスを上回る利潤を上げており,同社のネットワーク戦略は,わが国の子会社LCCにも大きな示唆を与える.
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Research Products
(3 results)