2011 Fiscal Year Research-status Report
グローバル時代における日本型流通機構の100年検証
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23530558
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
西村 順二 甲南大学, 経営学部, 教授 (60198504)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 製造小売業 / 流通システム |
Research Abstract |
本年度は、日本型流通業の特徴的な流通業態である製造小売業を代表として、その戦略行動分析と業界構造分析を行った。製造小売業は、本来製造業であり、一方で小売業でもあり、その二面性が故に日本の消費者行動の即日購買性や、少量購買性への対応として発展してきた代表的な流通業態の一つである。様々な製造小売業は存在するが、本年度は洋生菓子業界に焦点をあて、その戦略行動分析と業界の競争構造分析が行われている。そこでは、PLC(製品寿命)の短期性、消費者購買上の空間制約性が指摘され、それが故の戦略展開であることが事例研究を通して検証された。 また、洋生菓子・スイーツ業界としての競争構造を、PPM(製品ポートフォリオ・マネジメント)概念から援用し、その業界発展性を検証した。そこでは、業界構造としての成長のためのPPMの成功サイクルが動きにくい特性があることが指摘された。これらの諸特徴は、製造小売業においては共通の課題であるだろう。23年度の研究では、徳居町的な流通業態の撤回を通して、日本型流通の変動の大きな影響要因を抽出できたといえる。しかしながら、製造小売業については、例えばアパレル産業などのようにその製品属性上、上記の洋生菓子産業とは異なる動きを示すことが十分に想定される。23年度の研究成果は、比較的コモディ化された製品群で、そのPLCの短い製品・産業への当てはまりは良いものと思われるが、それらと異なる製品群における製造小売業の分析は行われていない。もちろん、SPAに代表されるアパレル産業などにおいて、そのPLCは季節商品でコトを想定すれば、PLCの長短については、他産業製品群とは異なって相対的には短いことは当然のことである。24年度には他の業界の製造小売への分析拡張が求められるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度の研究計画において、その進捗度に遅れが生じた。仮説等の導出は予定通り進んだが、一方でアンケート調査の実施に未着手となった。その大きな理由は、仮説等の検討において、製造小売業と言う日本型流通機構の特徴的流通業態の影響力の大きさが発見されたため、当初の計画通りのアンケート調査の対象、その質問内容などについての見直しが必要となったためである。 また、事例研究上も考察対象の見直しを図ることにし、より日本的な流通の諸特徴に焦点をあてることで、当初の日本型流通の特徴分析がより充実すると思われたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
洋生菓子産業に焦点を当て、その事例研究を推進する。また、遅れているアンケート調査の実施についても計画見直しを早急に進め、実行していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
製造小売業の事例研究の更なる推進のための調査費用、そしてこれらを含んだ上でのアンケート調査の費用、そして研究成果の取りまとめに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)