2013 Fiscal Year Research-status Report
グローバル時代における日本型流通機構の100年検証
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23530558
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
西村 順二 甲南大学, 経営学部, 教授 (60198504)
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Keywords | 流通 / 製造小売 / 流通業態 / 小売業態 / 日本型流通 |
Research Abstract |
研究目的上の基本的な仮説の導出及び確認はされている。流通における日本的特徴を長い時系列的な次元で考察を加えてきた本研究において、流通構造の日本的特徴の一つとして、製造小売業の存在が明らかになってきたと言える。それは、特に中小規模の業態としてである。 本研究の推進の中で、商業統計表の市町村レベルのデータ、それも食料品の代表として製造小売業のマクロデータの時系列分析を行い、洋生菓子やパンなどの製造小売業における考察が行われた。それにより、その組織規模にとらわれないで、着実に存在し、成長している、あるいは存続している製造小売業が確認された。それらは、地域市場を前提としたものであり、食料品を中心にその製品の寿命・賞味期限などの理由から、相対的に小さな商圏に拘束されるものである。すなわち、それらは生洋菓・スイーツ店、パン・ベーカリー店、豆腐店などである。これらは、典型的な小商圏の小売業態である。そして、必ずしも大規模を目指すことだけが目的となってはいない。本研究を進めていく上で、これら地域商圏における小規模な製造小売業に対する調査・考察を行うことを十分に想定できていなかったが、市町村全体や全国のデータでは、これらの傾向を確認できた。これらは極めて個別適応的で、その組織目的は必ずしも大規模だけではない、いわゆる生業志向の小規模小売企業群である。本研究では、食料品を中心とした製造小売業の歴史的な地域市場での存続が確認できたが、それらは小商圏であり、製品としての寿命・賞味期限の短さが特徴的である。これらの地域市場特徴との関連性、および製造機能の標準化度との関係性についての検討・考察が課題として残されてといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の推進の中で、組織規模にとらわれないで、着実に存続・成長している製造小売業が確認された。それらは、地域市場を前提としたものであり、食料品を中心にその製品の寿命・賞味期限などの理由から、相対的に小さな商圏に拘束されるものである。すなわち、それらは生洋菓・スイーツ店、パン・ベーカリー店等である。これらは、典型的な小商圏の小売業態である。そして、必ずしも大規模化を目指すことだけがその成長目的となってはいない。本研究を進めていく上で、これら地域商圏における小規模な製造小売業に対する調査・考察を行うことを十分に想定できていなかった。これらは極めて個別適応的で、その組織目的は必ずしも大規模化だけではない。いわゆる生業志向の小規模小売企業群であり、小商圏の中で、存続を目的とするもの、地域のなくてはならない生活基盤産業となる事を目指すもの、そして地域活性化を目指すものなど多様である。 研究推進の初期に予定した製造小売業について、洋生菓子・スイーツの製造小売業、和菓子の製造小売業、パン・ベーカリーの製造小売業、豆腐等の製造小売業、惣菜の製造小売業という食料品産業を中心とした製造小売業への調査・考察を広げ、その小商圏と製品の寿命の短期性、そして、それらから成果変数でいうところの販売高以外の何に焦点を合わせたものであるのかを明らかにする必要性が生じてきた。大手コンビニエンスストアが、「開いててよかった」から、「近くて便利」へとコンセプトを変更してきている。また、小子高齢化社会の到来において、地域商圏・小商圏が見直されてきている。しかしながら日本の流通機構において、食料品の製造小売業は、単純な流通加工作業も含め、歴史的にある程度の地位を確保して特長的に存在し続けてきたのである。本研究の研究課題の解明においてこれらの新たな研究考察の必要性が生じた事が、上記の研究の遅れを生じさせたものである。
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Strategy for Future Research Activity |
初期に予定した製造小売業について、洋生菓子・スイーツの製造小売業、和菓子の製造小売業、パン・ベーカリーの製造小売業、豆腐等の製造小売業、惣菜の製造小売業という食料品産業を中心とした製造小売業への調査・考察を広げ、その小商圏と製品の寿命の短期性、そして、それらから成果変数でいうところの販売高以外の何に焦点を合わせたものであるのかを明らかにする。それは、日本の流通機構において、食料品の製造小売業は、単純な流通加工作業も含め、歴史的にある程度の地位を確保して特長的に存在し続けてきたということが判明したからであり、これらの食料品を扱う、地域商圏を対象としている成功小売業について、さらに考察を加えていくものである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めてきた中で、中小規模の製造小売業、それも特に食料品を中心とした製造小売業の存在が明らかとなった。これらは、地域商業においては極めて重要な役割を果たしてきたし、これからの街づくり観点からの商業・流通のあり方として、有効な小売業態であることが指摘できている。これらの分析は十分に想定されずに進めてきたため、今後これらの詳細な検討・考察が必要となった。 中小規模製造小売業に関する二次データや一次データの収集と分析が、メイン作業となる。これら中小規模の食料品製造小売業に対して、可能ならば、アンケート調査やヒアリング調査を行うことにより、大規模組織との経営目的の相違や、戦略展開の異質性を確認していきたい。なお、この場合には、データの収集・整理等に人件費が必要とされる。
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Research Products
(2 results)