2013 Fiscal Year Research-status Report
多国籍企業における国際課税要因が資本市場に与える影響について
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23530562
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻田 譲 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10335763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 弘幸 新潟経営大学, 経営情報学部, 准教授 (30468962)
大沼 宏 東京理科大学, 経営学部, 准教授 (00292079)
加藤 惠吉 弘前大学, 人文学部, 教授 (70353240)
中島 茂幸 北海商科大学, 商学部, 教授 (80438390)
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Keywords | 移転価格税制 / 無形資産 / コーポレートガバナンス / タックスマネジメント / 租税回避 / イベントスタディ / 連結納税制度 / ロジスティック分析 |
Research Abstract |
平成25年度の研究成果は以下の4つに分類される。 1つ目の研究成果として研究代表者と分担者(大沼・加藤両氏)によって移転価格税制に関連する研究課題で論文(「移転価格税制の適用と資本市場の評価に関する実証研究」)の執筆を行った。当該研究では移転価格税制の適用によって資本市場には単なる追徴課税や巨額な事務コストへのネガティブ反応を超えた企業行動への強い不信が発生すると推論している。検討の結果、無形資産や実効税率,企業統治に関する変数がこれらの反応と有意に関係することが検証された。 2つ目の研究成果として研究代表者と分担者(大沼氏)によって連結納税制度に関連する研究課題で論文(「連結納税制度の採用インセンティブとコーポレート・ガバナンス、及び租税負担削減行動との関連性」)の執筆を行った。当該研究では現状において連結納税制度の採用企業数が非常に少ないことに注目しており、この原因を究明することによって同制度を採用する企業の特性を描出する。検討の結果、①取締役会の独立性が高くそれでいて規模の小さい、役員の平均年齢の若い企業、②繰越欠損金の多い企業、③子会社の業績は好調なものの親会社の業績が振るわない企業グループは連結納税制度採用の可能性が高いことを明らかにした。 3つ目の研究成果として(本研究申請の直接的な課題ではないが、)研究代表者によって資本剰余金配当に対する課税制度に関連する研究課題で論文(「資本剰余金配当実施法人の実態と投資家の選好」)の執筆を行った。当該研究ではその他の資本剰余金を原資とした配当(資本剰余金配当)の実施に注目し、主に①当該配当に対する投資家の反応についての再検証と、②資本剰余金配当を実施する法人群の財務的特性を明らかにした。 4つ目の成果として税務行動研究会(平成25年8月19日 北海道大学経済学部棟1階113演習室)の北海道大学開催が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は移転価格税制と連結納税制度、そして資本剰余金配当に対する課税を課題として研究に注力した。1つ目の課題に関連する論文(「移転価格税制の適用と資本市場の評価に関する実証研究」)を執筆し、現在、東北大学経済学研究科の機関誌『研究年報経済学』へ査読論文としてアクセプトし、部分的な修正を施し、掲載へ向けた最後の作業を進めている。 2つ目の課題に関連する論文(「連結納税制度の採用インセンティブとコーポレート・ガバナンス、及び租税負担削減行動との関連性」)を執筆し、日本会計研究学会の機関誌『会計プログレス』に査読論文として応募した。しかしながらリジェクトされ、掲載にこぎ着けなかった。 3つ目の課題に関連する論文(「資本剰余金配当実施法人の実態と投資家の選好」)を執筆し、現在、日本ディスクロージャー研究学会の機関誌『経営ディスクロージャー研究』に査読論文として申請しており、査読結果の通知を待っている。 この様に観てくると平成25年度は連結納税制度に関する論文がアクセプトしなかった点が悔やまれるが、当該論文については平成26年度においても引き続き研究課題とし、査読者によるコメントを踏まえて再考を試み、査読論文としての再投稿を目指す予定である。また本研究助成の申請課題とは直接的な関係は無いものの、所謂研究上の副産物としての資本剰余金配当に対する課税をテーマとした検討では学会報告を経て、査読論文として申請している。このような現実を踏まえると、全体として概ね順調に進展していると考えて良いであろう。 なお、本申請研究課題の検討に際し、税務行動研究会を北海道大学において開催し、関連する研究課題の検討を行う中で、多くの貴重な所見を収集することに成功した。このため来年においても同研究会の北海道大学開催を多くの研究者に呼びかけ、本申請研究課題に関する成果の獲得に役立てる計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、移転価格税制を課題とする研究と資本剰余金配当に対する課税研究の2つについて、継続して検討し、学会報告の準備を行う。また連結納税制度に関する研究については、リジェクトされた論文を再検証し、査読アクセプトに向けて努力を重ねる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者大澤弘幸氏の学内業務多忙のため。 平成26年度中に確実に使用の予定。
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Research Products
(13 results)