2012 Fiscal Year Research-status Report
研究開発プロジェクトの評価システム-戦略的視点からの分析-
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23530564
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 雅明 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90202473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間普 崇 関東学園大学, 経済学部, 准教授 (10438749)
松田 康弘 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (70451507)
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Keywords | 研究開発 / 非財務指標 / 環境 / 温室効果ガス |
Research Abstract |
本研究は,研究開発プロジェクトに対してモデル分析と実証分析という2つのアプローチをとっており,それぞれのアプローチについて今年度の研究成果を報告する. モデル分析においては,研究開発プロジェクトを投資決定問題として捉え,2期間モデルのエージェンシー問題としてモデル化し,管理者(エージェント)を企業内部に留め,プロジェクトを継続させていくためのコストと指標について検討した.この成果は, 松田康弘による"Managerial Retention Cost, Manager Specific Effort and the Use of Leading Indicators"において示されている. 実証分析については,企業価値と企業が開示している環境関連情報との関係に焦点を当てた分析を行った.本研究課題の目的は,戦略的視点から企業の研究プロジェクトを分析することであり,今日の企業戦略において,環境保護・保全という活動は重要な意味を持ち,今後,企業戦略を分析していく際にも1つの視点となる,と考えたからである.具体的には,企業の環境関連情報として「温室効果ガス排出量」と「環境保全関連技術」という二つの非財務情報を分析データとして、企業価値との関連性を検証した.この成果については,日本管理会計学会全国大会(2012.8.26,国士舘大学)で発表した. 今年度は,研究開発活動に関して行われてきた過去の実証研究をレビューし,そこでは様々な非財務指標が利用され,研究開発の成果として蓄積される知識・ノウハウ,いわゆる,インタンジブルズを測定していくためには,非財務指標が重要な役割を果たしうる,という結論を得た.この結果は私たちの研究方向が間違っていないことを示唆しており,日本管理会計学会2012年度第2回リサーチセミナー(2012.11.10,青山学院大学)で発表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度は,学会発表3回(国内学会2回,海外学会1回),論文1本という成果をあげることができた. 本研究における実証分析では,企業が公表している環境関連情報(温室効果ガス排出量)と企業価値の間に何らかの関連があることを見いだすことができた.企業の環境政策は,今後,戦略的に重要な意味を持つ可能性を有しており,私たちの研究の目的に照らしても重要な発見であった. モデル分析においては,多期間エージェンシーモデルによる研究プロジェクトの分析に関する研究を行ってきた.私たちの研究目的は,研究プロジェクトを戦略的な観点から分析することである.これまで研究してきたモデルは戦略的な視点が欠けており,この意味で当初の目標を達していないと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年は本研究課題の最終年度であるため,これまでの研究成果をまとめ,さらに,今後行っていくべき研究課題に繋がるような研究を行っていきたい. 具体的には,日本管理会計学会と今年日本で開催されるAPMAA(Asia-Pacific Management Accounting Association)での発表を今年の第一目標としたい.これらの学会では,昨年私たちの研究の成果である,温室効果ガス排出量・環境保全関連技術と企業価値の関係についてさらに研究を進め,その成果を発表したい.モデル分析については,戦略的な視点を取り入れた多期間エージェンシーモデルを研究開発活動に適用するケースについて分析を進め,その成果をまとめていきたい.今年は本研究課題の最終年度であるため,これまでの研究成果を学会誌に投稿する活動も積極的に行っていきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度については、研究プロジェクトの最終年であるという点を考慮に入れ、当初の予定通り、研究成果の発表に予算を使いたい。私たちは、これまで研究開発活動に関する非財務指標に関するデータを収集してきた。これらのデータは、この研究プロジェクトのみならず、今後の研究においても重要な意味を持つと考えられる。このため、これまで収集してきたデータを整理・データベース化するということにも予算を使っていきたい。
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