2012 Fiscal Year Research-status Report
財務・非財務指標が従業員の心理と行動に与える影響の研究:実験計画アプローチ
Project/Area Number |
23530567
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
末松 栄一郎 埼玉大学, 経済学部, 教授 (60276673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三矢 裕 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00296419)
日置 孝一 神戸大学, 経営学研究科, 講師 (60509850)
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Keywords | 管理会計 / Need For Cognition |
Research Abstract |
本研究の具体的目的は,財務情報・非財務情報の提供の仕方によって,従業員の意思決定や業績がどのような影響を受けるのかを,実験計画法の手法を用いて解明し,実用的な利益管理システムのデザインに貢献することである。この点において変更はない。 平成24年度の研究実施計画では,平成23年度に実施した実験室実験の成果の詳細な分析・検討を行うことと,新たな実験の設計と実施を計画していた。 平成24年度において,平成23年度に実施した実験室実験の成果の詳細な分析・検討を行った。実験では,フィードバック情報の種類(財務情報と非財務情報),フィードバック情報提供の頻度,参加者の個人差変数としてのNeed For Cognition(NFC: Cacioppo & Petty, 1982: 日本語版 神山・藤原,1991)と,作業へのモチベーションや作業成績との関係を測定したが,NFCの低い参加者の作業成績は情報の種類・頻度の影響をうけていない一方で,NFCの高い参加者の作業成績は情報提供の頻度の影響を受けるが,情報の種類からは影響を受けていないことが示された。この成果は,第38回日本原価計算研究学会で報告するとともに,『原価計算研究』に掲載し,学界・実務界に発信した。 また,平成24年度において,フィードバック情報提供の頻度に代えて,一度にフィードバックされる情報の量が意思決定にもたらす影響を検討する実験の設計をすすめた。 同時に,NFCという視点を取り入れた利益管理システムをデザインするため,アメーバ経営導入企業向けのアンケートにNFCを取り込むことの検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参加者の個人差変数,フィードバック情報提供の頻度および情報の種類と,作業成績との関係について,研究1年目で実施した実験の結果から得られた知見を論文としてまとめ,原価計算研究学会で報告するとともに,『原価計算研究』に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実験計画はおおむね達成されたので,実務家との協議をすすめ,より実践的な利益管理システム開発への貢献を目指す。加えて,研究内容をさらに深化させるため,財務及び非財務の情報の提供の仕方が,上司による部下の評価にどのような影響を与えるのかを解明する。 従業員の意思決定や意思決定の結果としての業績は,業績を上司がどのように評価するかに大きな影響を受けるからである。 より具体的には,マネジャーが部下の業績をどのように評価するのか,財務的な業績情報・非財務的な業績情報の提供の仕方によって,部下の業績に対するマネジャーの評価がどのような影響を受けるかについて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に設計をすすめた新たな実験の実施をめざし,財務情報・非財務情報の提供の仕方によって,従業員の意思決定や業績がどのような影響を受けるのか,より知見を広げることを目指す。そのための実験をMBA学生等の実務経験者(社会人)を被験者として実施する。 また,NFCという視点を取り入れた利益管理システムをデザインするため,企業実務におけるNFCの活用方法について実務家との共同研究の機会を模索する。 平成25年度においても,国内外における研究動向にも注意を傾け,国内外の研究者・実務家との意見交換を進める。
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Research Products
(2 results)