2013 Fiscal Year Annual Research Report
企業の環境投資に対する資本市場の評価とコーポレート・ガバナンスに関する総合的研究
Project/Area Number |
23530579
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
朴 恩芝 香川大学, 経済学部, 教授 (00345860)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中條 良美 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (00387383)
|
Keywords | 環境投資 / テキストマイニング / 経営者のメッセージ / サプライチェーン |
Research Abstract |
経営学研究におけるテキストマイニングの活用は、マーケティングなど一部の分野を除いてあまり進んでいない。他方で、環境会計ガイドラインの導入を契機として、日本企業の間でも環境報告書というかたちで、環境関連活動に関する情報を開示する動きが活発になっている。このような現状に鑑み、蓄積された環境関連の記述情報に対してテキストマイニングを実施することは、日本企業の対環境行動を説明するうえで有力な手段となることが期待される。 本研究では、上場企業がウェブ上で開示した環境報告書から経営者のメッセージを抽出して解析することで、当該メッセージに特徴的にあらわれるキーワードを析出した。とりわけ興味深い結果は、環境投資に積極的な企業は、製品開発に環境技術を取り入れている様子を具体的に解説していることが多く、逆にかかる投資に消極的な企業はCSRや社会的責任といった大きな括りで抽象概念を標榜する傾向にあることがわかった点である。これまで定量的な側面のみに焦点があわされることの多かった環境会計の研究に、このような知見は有益な含意を提示していると考えられる。 それとともに、環境情報を含む情報開示行動が、企業の競争状況や組織構造によってどのように変化するかに関する理論モデルの構築にも取り組んだ。数量競争によって特徴づけられる市場では、コスト情報を秘匿したほうが競争上有利となることが確認されたわけである。 残された課題は、価格競争においてかかる状況に変化が生じるのか、そしてサプライチェーンにおける各プレーヤーの交渉力の違いが開示行動に変化をもたらすとすれば、その条件は何かを明らかにすることである。
|