2014 Fiscal Year Annual Research Report
ガバナンス・コントロールの理念と方法:デフレ脱却を目指す不況の管理会計学
Project/Area Number |
23530583
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大下 丈平 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (60152112)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 管理会計 / コントロール / ガバナンス / マネジメント / パラドックス / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
この間の成果は大きく2つの研究領域に区分される。一つの領域は、研究課題のガバナンス・コントロールの理念と方法を支える時間主導型ABC(TDABC)を巡る議論であり、そのTDABCが原価計算の発展のメルクマールとして考えることができるかという視点から執筆されている。いわゆる管理会計の内包的な議論というべきものである。なかでも「ヘルスケアにおける「競争戦略」と原価計算―TDABCとUVA法の比較考察をめぐって―」という『経済学研究』で取り上げた問題は、このTDABCがかつてフランスでも議論された時間ベースの管理会計手法であるUVA法との関わりを考察したものである。その場合に興味深いことは、その考察がヘルスケアという極めて特異な場面において行われていることである。 もう一つの領域は、研究課題に沿ったガバナンス・コントロールの理念と方法を追究しようとしたものである。コントロールのパラドックス概念、価値多様性、さらには最近話題の統合報告といった財務報告の大きな流れなどをガバナンス・コントロールがどのように受け止めることができるのであろうか、といった視点から執筆されている。特に、ここでの研究成果は内部統制の制度化を契機に、ガバナンスをコントロールすることを通して、内と外の関連を問い直すことによって、統合報告が求める「環境,社会およびガバナンスに対して管理会計はどう向き合うか」という問いに応えようとしてきた。投資家と経営者の両方の立場からの「持続性」確保の要請は、一つの可能性として、その両者を媒介する「ガバナンスをコントロールするという仕組み」を作り上げることによって達成されるものと考えられるからである。 以上が最終年度に達成された研究実績の概要である。
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