2011 Fiscal Year Research-status Report
企業戦略としてのM&Aが企業の組織形態および経営者の会計行動に及ぼす影響について
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23530587
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
浅野 信博 大阪市立大学, 経営学研究科, 准教授 (10319600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎葉 淳 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60330164)
松中 学 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20518039)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | M&A / 会計発生高 / 利益調整 / 企業戦略 / 組織形態 / 会計行動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、戦略遂行のためのM&Aが企業の組織形態の変化をつうじて経営者の会計行動にいかなる影響を及ぼすのかについて明らかにすることである。われわれはこれまでの一連の研究において、「M&Aに関するディスクロージャー制度の法律上の問題点」について議論するとともに、制度の現状およびあり方について理解を深めることができた。翻って、本研究では、M&Aを実施した後の企業における組織形態の変化に注目し、特に本年度においては、持株会社、委員会設置会社、監査役設置会社などにまつわる法律上の問題点について集中的に議論を行った(この議論の詳細については、近日中に論文として公表予定である)。これら主要な研究の成果については次年度以降に得られる予定である。本年度における研究実績の概要は以下のとおりである。研究代表者である浅野信博(大阪市立大学経営学研究科:会計学パート担当)は、アーカイバルデータを用いた実証研究について科学哲学の観点からそのあり方について議論した論文、および監査という観点から利益調整に注目した論文をWorking Paperとして公表した。研究分担者である椎葉淳(大阪大学経済学研究科:経済学パート担当)は、TOBにおける買付価格の算定に関する実証研究について国内で報告するとともに、内部組織関係と所有構造が財務パフォーマンスに与える証拠について海外で報告を行った。研究分担者である松中学(名古屋大学法学研究科:法学パート担当)は、わが国における株式取引の役割に関する論文を外国雑誌に掲載するとともに、わが国の監査役に関する歴史分析を海外で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「戦略遂行のためのM&Aが企業の組織形態の変化をつうじて経営者の会計行動にいかなる影響を及ぼすのかについて明らかにする」という本研究の目的を達成するための前提として、1)M&Aを実施した後の企業における組織形態の分類、2)持株会社、委員会設置会社、監査役設置会社などにまつわる法律上の問題点に関する議論、を行うことを主眼として、綿密な意思疎通の図った上で協力して研究を実施した。その結果、本研究はおおむねにおいて当初の計画通り順調に進展していると評価している。会計学パート担当の浅野は、M&A後の組織形態にについて法学パート担当である松中の協力を得ながら詳細な分類作業を行った。M&A後の組織形態の分類をいかにして説得力をある形で実施するかについては本研究の重要なカギであり、この分類作業については特に慎重を期して実施した。ただし、M&A後の組織形態の分類はその妥当性についていまだ課題を残していると考えている。経済学パート担当の椎葉は、M&Aに関する経済理論モデルをM&Aの動機に注目して構築することを試みるとともに、基本統計量および時系列動向の大まかな動向の把握を浅野とともに行った。経済理論モデルについては、現段階ではいまだ構築中であるが、データベースを構築したうえでデータの大まかな動向については把握することができたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。法学パート担当の松中は、さまざまな企業の組織形態にまつわる法律上の問題点について浅野、椎葉とともに議論を行った。法学パートについては当初の計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度においては、M&Aを実施した後の企業における組織形態の変化に注目するとともに、持株会社、委員会設置会社、監査役設置会社などにまつわる法律上の問題点について集中的に議論を行った。次年度以降の研究の推進方策は以下のとおりである。会計学パート担当の浅野は、法学パートの松中の協力を得て、M&A後の組織形態の分類についてさらなる精緻化を行う作業を実施する。加えて、本研究の目的である「戦略遂行のためのM&Aが企業の組織形態の変化をつうじて経営者の会計行動にいかなる影響を及ぼすのか」について明らかにするために、経済学パートの椎葉および法学パートの松中と共同してアーカイバルデータを用いた実証研究を実施する。なお、実証分析を実施するに先立ち、経済学パートの椎葉によって構築された経済理論モデルから演繹する形で仮説の設定を行う。経済学パート担当の椎葉は、引き続きM&Aに関する経済理論モデル分析をM&Aの動機に注目して実施するとともに、M&Aデータベースの拡張作業を行う。さらに、M&Aに関する実証研究についても浅野と共同して行う。法学パート担当の松中は、さまざまな企業の組織形態にまつわる法律上の問題点について、いくつかのケースに注目しながら、浅野、椎葉とともに議論を進める。われわれのこれまでの一連の研究における成果については、本年度に引き続き、国内ないしは国外の学会等で精力的に報告するとともに、国内外の雑誌に積極的に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度における研究費の使用計画は以下のとおりである。物品費については、データベース関連に関する支出が主要なものとなるが、このうち本年度において購入予定であった日次リターンデータベースである「ポートフォリオマスター」については、詳細な検討の結果、次年度に繰り越すことにした。これによって、2012年3月末までの日次リターンデータが利用可能となり、アーカイバルデータを用いた実証研究において一定のサンプルサイズを確保することが可能となる。これに加えて次年度では、「日経ベータ値データベース」および「日経監査意見データベース」を購入する。ベータ値および監査意見に関するデータは必須であるにもかかわらず、これらについては、大阪市立大学、大阪大学、名古屋大学でそれぞれ利用可能ではないからである。書籍、消耗品などのその他の物品費については、各パートのメンバーがそれぞれ必要額を使用する。われわれは3つのパートについてそれぞれ役割を分担して研究を遂行していることから、綿密な意思疎通を行わなければならない。法学パートの松中は名古屋在住のため、ミーティングを行うための名古屋-大阪間の旅費を研究費として頻繁に利用する。さらに国内外において研究成果発表を行う際の旅費についても、各パートのメンバーがそれぞれ適宜使用する。経済学パート担当の椎葉については、M&Aデータベースの構築を行うために、データ入力作業に必要な人件費を計上する。
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Research Products
(6 results)