2012 Fiscal Year Research-status Report
２１世紀型企業組織と戦略実行のための管理会計システムの研究
| Project/Area Number |
23530589
|
|---|
| Research Institution | University of Hyogo |
|---|
Principal Investigator |
頼 誠 兵庫県立大学, 会計研究科, 教授 (70191674)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺田 孝幸 立命館大学, 経営学部, 教授 (10143132)
塘 誠 成城大学, 経済学部, 教授 (80320042)
|
|---|
| Keywords | 総合商社 / リスク / 投資 |
|---|
| Research Abstract |
2012年度は、ヒアリング調査を中心に総合商社を調査した。それらから、いくつかの研究の方向性を見いだせた。以下のような仮説を実証するために、さらにヒアリングを繰り返す必要がある。
①総合商社の形成にはいくつかのタイプがあり、財閥系とその他の総合商社を同等にみることはできない。②特定の地域や事業分野に偏らないことで総合力を重視している商社がある。そこには、川上から川下まで全体で付加価値を生み出す仕組みがある。③総合商社の好業績は、資源価格の高騰によるところが大きい。利益の多くが資源に依存していることから、リスク管理が重要な意味をもっている。商社は、リスクに見合う収益をあげられるよう企図している。だが、最終的に行われる意思決定は、必ずしも精緻な数量的計算の結果だけに基づくものではない。④リスク管理が厳しすぎると、営業が以前ほど自由に投資できなくなり、活力が失われたという問題も指摘されている。それらのバランスをどうとるのか。⑤商社はマルチ・ドメスティックな経営をするための情報・人脈を多く有しているという見解がある。だが、商社の抱える問題の一つにグローバル人材不足がある。商社の人材育成について、若干の知見を得た。⑥商社は、日本独自のものであると言えるかどうかは断言できないが、輸出が重要な意味をもっていたこと、国内に商権をもっていたこと、等が特徴とされる。近年の商社は、口銭ビジネスよりも、トレードでできたつながりを基礎に投資し、その事業を育成するようになってきている。
総合商社には、多角化経営によるリスク分散と垂直統合によるバリューチェーンの形成に特徴がある。総合商社は多様な事業分野に関わり、情報収集・分析、ニーズの把握、どのように事業化しているのか。どのように事業を運営し、統合しているのか。さらに研究をすすめたい。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2012年度は、総合商社へのヒアリングを３人で行った[丸紅（３/23、11/16）、双日（12/25）三菱商事（2/14､15）等]。その他、研究会、学会などで住友商事、三菱商事の元社員の話をうかがった。また、塘教授が単独でメキシコならびにベトナムの日系企業へヒアリング調査、浅田教授も単独で調査を行ってきた。また、頼は、兵庫県立大学学内シンポジウムのポスターセッションに展示発表をした。
しかし、昨今の厳しい経済状況下では、企業側のガードは固く、なかなかヒアリングに応じてくれず、やっと予約がとれても論文になるようなことは答えてくれず、聞けても公表許可が下りないという厳しい状況である。したがって、ヒアリングメモの蓄積、ホームページでの自発的開示情報、そのほか文献収集の努力はしているが、アウトプットが出ていない点では、順調とは言い難い。
|
| Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って、本年度はアンケート調査を実施する。質問紙は、研究当初に作成したが、研究を進めるにしたがって、作業仮説が変わってきており、質問項目の修正を検討中である。また、単に質問紙を郵送するだけでは、十分な回収率が期待できないことが予想されるため、本研究のだけではなく、別の研究者が行うアンケート調査と合同で実施することも考えている。
このほか、純粋持株会社や総合商社に関する文献収集、有価証券報告書の閲覧などもヒアリングと併行して継続する。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンケート調査を実施するための印刷費、送料、調査結果の入力補助者への委託報酬費等で研究費を使用する。
また、ヒアリングや学会への出席と情報交換、共同研究者との打ち合わせを中心に旅費として研究費を使用する。
|
Research Products
(2 results)
