2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530590
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
小形 健介 長崎県立大学, 経済学部, 准教授 (20347694)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 会計規制 / FASB / IASB / 社会ネットワーク分析 / 会計基準設定 |
Research Abstract |
本研究は,国際的な会計基準のコンバージェンスを目指す米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)のそれぞれの基準設定行動に着目し,両審議会において会計基準の設定を決定する要因は何であるのか,それは両審議会で異なるのか,異なる場合その理由は何であるのか,を明らかにすることを目的としている.かかる目的を遂行するために,本研究では,「会計基準設定機関はその組織の存続に関する危機認識が当該機関の行動を決定する」との仮説を設けて,かかる仮説を検証することを試みている. 平成23年度に取り組んだ研究は,(1)仮説検証のための分析視角を精緻化すること,および(2)FASBとIASBのネットワーク構造分析,である. まず(1)分析視角の精緻化に関しては,未公刊ではあるものの,論文"The Model on Regulatory Behaviors of Accouting Standard-Setters"を作成している.そこでは,会計基準設定機関を取り巻く行政機関の信認・不信と産業界の容認・拒否という要素をもとに,当該機関が直面する4つの環境を想定し,各環境下での基準設定機関の行動を分析モデルとして表わしている. 次に,(2)ネットワーク構造分析では,上記モデルの検証作業の一環として,FASBとIASBの基準設定活動と両審議会のメンバー構成との関係性を検討した研究報告"How does the network structure of standard-setter affect its standard-setting activity?"を2012年1月に別府で開催されたThe 17th International Symposium on Artificial Life and Roboticsで行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析視角の精緻化が順調に進み,かつ次年度行う予定であったFASBとIASBのネットワーク構造分析の一部を実行できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画として,以下の2つの方向性を考えている. 一つは平成23年度に実施したネットワーク構造分析を継続することである.平成23年度では,FASBとIASBの基準設定活動と両審議会のメンバー構成の関係性について,かかる分析を行ったが,今後は当該関係性について審議会毎に時系列での分析を実施する予定である. またもう一つは上記のものとは異なるアプローチでのネットワーク構造分析を行うことである.そこでは,両審議会の基準設定活動と各審議会メンバーの投票行動との関係性について分析を行い,その際,クロス・セクションでの分析と時系列分析を実施する予定である. 以上2つのネットワーク構造分析を実施し,上記で示した仮説の検証を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では,今後の推進方策で示した,FASBとIASBの基準設定活動と両審議会のメンバー構成の関係性に関する審議会毎での時系列分析を実施する.そのための資料収集・整理および当該研究の実施を予定している. 平成24年度ではまた,今後の推進方策で示した平成25年度実施予定の,両審議会の基準設定活動と各審議会メンバーの投票行動との関係性に関する分析の資料収集等も実施する.さらに,当該年度ではそれまでの研究蓄積および平成25年度予定の研究計画をもとに,米国Duke大学のTim Büthe氏との意見交換ならびに同大学での資料収集等を実施する. なお,平成23年度に生じた未執行研究費は,当該年度に予定していた分析モデル作成に時間がかかった結果,旅費等に生じたものである.上記研究費は平成24年度中に研究会報告等で当該モデルに関する意見聴取のために利用する予定である.
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