2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530590
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
小形 健介 長崎県立大学, 経済学部, 准教授 (20347694)
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Keywords | 会計規制 / FASB / IASB / 社会ネットワーク分析 / 会計基準設定 |
Research Abstract |
本研究は,国際的な会計基準のコンバージェンスを目指す米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)のそれぞれの基準設定行動に着目し,両審議会において会計基準の設定を決定する要因は何であるのか,それは両審議会で異なるのか,異なる場合その理由は何であるのか,を明らかにすることを目的としている.かかる目的を遂行するために,本研究では,「会計基準設定機関はその組織の存続に関する危機認識が当該機関の行動を決定する」との仮説を設けて,かかる仮説の検証を試みている. 平成24年度に取り組んだ研究は,以下の3つである. まず,①分析視角の精緻化である.そこでは,会計基準設定機関が直面し,認識するであろう環境要因(行政機関の信認or不信×産業界の容認or拒否,から構成される4つの組み合わせ)にもとづいて,それぞれの環境下での具体的な戦略・組織再編・基準設定行動が決定されるとする,基準設定機関の行動モデルを精緻化した.この行動モデルにもとづいて分析を行ったものとして,『會計』(第182巻第5号に掲載)および『会計プログレス』(投稿中)がある. 次に,②FASBとIASBの2000年代後半におけるネットワーク構造分析である.この研究では,両審議会の基準設定活動がそれぞれの組織構造,戦略,そして環境要因によって決定されていることを検証している.その検証作業の一環として,比較的小規模なグループを対象に実施したもの(既述した論文2篇)と,より大規模なデータを用いて実施したものがある.後者は,2012年10月にMauiでのAPCで報告した. 最後に,③FASBの時系列でのネットワーク構造分析の実施である.この研究では,FASBの基準設定活動が環境要因・戦略・組織構造によって時系列的にどのように変化したのかを検証している.これは,2012年11月に京都でのAAAAで報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FASBに関する研究は順調に進んでいるが,IASBに関する研究については若干スピード・アップさせる必要があるため.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成25年度では,以下の2つの作業を行う. 一つは,FASBの時系列ネットワーク構造分析の整理である.平成24年度に実施した研究を補強するために,歴史的な事実関係の分析をより一層行う予定である. もう一つは,IASBの時系列ネットワーク構造分析の実施である.この研究に関してはデータ処理は行っているものの,まだ分析を行うまでにはいたっていないため,これを実施する. 以上の作業を踏まえて,最終的な整理を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では,その研究費の多くを研究成果報告のための旅費に充当する予定である.まず既に決定している分として,研究実績の欄で記載した,②FASBとIASBの2000年代後半におけるネットワーク構造分析の研究成果を,2013年5月にParisで開催されるEuropean Accounting Associationでの研究報告がある.それ以外にも,国内外の学会・研究会にて,今年度実施予定の研究成果を含めて,報告する予定である. また若干ではあるが,FASBとIASBの歴史分析のために必要な資料ならびに文献を収集するためにも利用する.
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Research Products
(6 results)